《レポート》JCEPシンポジウム「魅力増す地熱資源の有効活用」 ~地熱発電の現状と将来を展望

[画像・上:JOGMEC西川信康氏による講演の様子]

日本クリーン環境推進機構(JCEP)は9月15日、「魅力度を増す地熱資源の有効活用」と題した講演会を都内ホールで開催した。

講演者は、経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課の吉川徹志課長、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)地熱部の西川信康部長、つちゆ温泉エナジー株式会社の加藤勝一代表取締役社長の3氏。JCEP会長・愛知和男氏(元環境庁・防衛庁長官)の開会挨拶を皮切りに、3氏それぞれの立場から地熱発電の可能性を語った。

最初の講演者である資源エネルギー庁の吉川氏は、再生可能エネルギーの現状と導入促進施策についてレクチャー。地熱は他の再エネに比べて発電コストが低く、設備利用率が格段に高いベースロード電源であるとして、その重要性をアピールした。日本は、米国、インドネシアに次ぐ世界第3位の地熱資源(2,347万kW)を有しているが、地熱発電設備容量は520,000kW(2014年)と低い。ポテンシャルがありながら活かされていない理由としては、「開発に係る多大なリスク・コスト」と「地熱資源の国立・国定公園への偏在」が挙げられる。こうした課題を解決するため、国は予算・産業投資・規制緩和等の様々な政策措置を一体的に行っていくとする。国立・国定公園内における規制の見直し(本紙前号にて紹介)も進んでおり、今後は国を挙げて地熱開発を支援していく方針だ。

一方で吉川氏は、「地域との共生」を重視し、自治体が積極的に関与しつつ地元協議会等で議論を重ね、地域住民の理解を得ていくプロセスが大事であることも強調した。

JOGMEC、地熱資源
開発を幅広く支援
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の西川氏は、「我が国の地熱発電の現状とJOGMECの役割」をテーマに講演。同機構は現在、地熱資源開発支援制度として次の5つの活動を行っている。①地熱資源ポテンシャル調査(空中物理探査)、②助成金事業、③リスクマネー供給、④技術開発、⑤情報収集・提供(地熱理解促進活動)。
地熱資源ポテンシャル調査においては、ヘリコプターを使った空中物理探査を行い、電磁・磁気探査データを取得。そのデータ解析を通して、新たな有望地域の抽出に取組んでいる。
助成金事業は、初期調査リスクの低減に向けた支援として、過去3年間で36件の実施実績をもつ。最近は、地元の地熱関係法人などが事業主体となった〝地元案件〟に力を入れているという。
技術開発に関しては、地熱の探査技術の向上、既存発電所の出力向上をめざし、二つの技術開発「地熱貯留層探査技術」「地熱貯留層評価・管理技術開発」を実施している。現状では、蒸気・熱水は割れ目に貯まっており、その貯まっているとみられる領域を推定し、それを目がけて掘削している。しかし、割れ目がどこにあるかは明確ではなく、掘削が失敗する例も散見される。JOGMECでは、掘削の成功率を向上させるため、割れ目の位置を高精度で推定する技術の開発を目指している。また、地下の状態を精度良く評価する技術や、水の循環を管理する技術の開発にも注力しているということだ。

土湯温泉、バイナリー
発電で地域再生に挑む

つちゆ温泉エナジー社長の加藤勝一氏

つちゆ温泉エナジー社長の加藤勝一氏

最後に登壇した、つちゆ温泉エナジーの加藤氏は、東日本大震災からの復興を目指した再生可能エネルギー事業への取組みについて熱く語った。「私たちのバイナリー発電プロジェクトは、東日本大震災と原発事故による不測の事態から、途方に暮れる地域を何とか復興させ、再生を果たしたいという強い思いから始まりました。震災前に戻すだけでは、温泉観光地として生き残れないとの危機感もありました」という加藤氏の言葉に、会場を埋め尽くした参加者は皆、真剣に耳を傾けていた。
なお、同講演会には、発電事業者をはじめプラントメーカー、掘削会社、ゼネコン、地元協議会、投資関連会社などから約120名が参加。地熱開発への幅広い関心を伺わせた。

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