《自動車が挑む「新エネルギー」 ~東京モーターショー2015を振り返る》第2回:30年先の水素社会を見据え計画推進。【トヨタ自動車】生産技術向上+再エネ+水素で2050年にCO2ゼロへ

[画像・上:レクサスの燃料電池自動車コンセプト「LF-FC」の内部構造イメージ。フロントインホイールモーター+後輪駆動の4WD方式を採用。また水素タンクの1本をフロアトンネル部(通常のFR車ならプロペラシャフト等の駆動系が収まる部分)に縦置き配置している]

トヨタ自動車が東京モーターショーに展示した、燃料電池自動車(FCV)のコンセプトカー「FCVプラス」。水素社会の定着を前提として、水素社会でのあるべきFCVの姿を具現化した。

水素社会では「様々な一次エネルギーからクリーンに水素が生成され、エネルギーの地産地消が広がる」。トヨタはそこから、水素を利用し電力を生成するFCVに分散電源としての新たな役割を見出している。

東京モーターショーに展示されたトヨタの「FCVプラス」

東京モーターショーに展示されたトヨタの「FCVプラス」

この新たな役割を象徴するのが、FCVプラスに装着された非接触給電パネル。フロント床面下およびリアタイヤ側面に設置され、V2H(Vehicle to Home:FCVから建物への給電)や他のFCV間での電力の給電・受電がシームレスに行うことのできる想定のもとに設計された。

さらに、トヨタの高級車ブランドであるレクサスからもFCVのコンセプトカー「LF-FC」が披露された。「LF」はレクサスのラインアップ中、最上級機種を指すモデル名だ。

レクサスのコンセプトカー、「LF-FC」外観

レクサスの燃料電池自動車コンセプトカー、「LF-FC」外観

注目するべきはその駆動方式だ。量産型として市販されているFCV・トヨタMIRAI、そして来年3月発売予定のホンダ・FCVフューエルセルも、前輪駆動方式を採用している。一方このLF-FCはメイン駆動を後輪とし、さらに前輪にはインホイールモーターを備えた4WDを採用。FCスタックとパワーコントロールユニットをフロントボンネット下に設置し、水素タンク2本のうち1本を縦置きにしてT字型配置とするなどのレイアウトで前後重量配分の適正化を実現、優れた操舵応答性を確保するとしている。

トヨタの発表した、今後の次世代車開発イメージ。2050年にはエンジン単体搭載車を限りなく減らしている(提供:トヨタ自動車)

トヨタの発表した、今後の次世代車開発イメージ。2050年にはエンジン単体搭載車を限りなく減らしている(提供:トヨタ自動車)

トヨタは東京モーターショーを遡ること2週間前、「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表している。その中の1項目「新車CO2ゼロチャレンジ」では、2020年頃以降でのFCVの販売目標数をグローバルで年間3万台以上、日本国内で少なくとも月産1,000台レベル・年産1万数千台程度と定めた。そして日野自動車からの展開となる燃料電池(FC)バスでは、2016年度中に東京都を中心に導入を開始し、2020年に向けて100台以上をメドに準備するとしている。

そして2050年にはガソリンエンジンのみの新車販売を限りなくゼロに近づけ、グローバル新車平均走行時のCO2排出量を、2010年度比で90%削減することを目標とした。

トヨタの示した、2020年に向けた水素製造供給・利用技術のイメージ(提供:トヨタ自動車)

トヨタの示した、2020年に向けた水素製造供給・利用技術のイメージ(提供:トヨタ自動車)

また、生産部門の取り組みとして、再エネと水素エネルギーの活用を柱とした「工場CO2ゼロチャレンジ」も発表。工場での水素利用を目指し、水素を熱源として利用するための燃焼技術や、燃料電池技術のノウハウを活かした発電技術など、電熱にわたる水素エネルギー活用技術の開発を推進する。2020年頃にFCV生産ラインで導入に向けた実証を開始する計画だ。
具体案としては、田原工場に2020年頃を目指して風力発電設備を設置。自社の生産用エネルギーとして利用する。ブラジル工場(Toyota do Brasil)では、風力・バイオマス・水力などを利用し2015年から電力の100%再エネ化を達成。トータルで2050年にグローバル工場CO2排出ゼロを目指す。

トヨタは再エネとCO2フリーの取り組みのグランドデザインも提示。「地域連携・低炭素水素技術実証事業」での横浜・川崎地域でのCO2フリー水素供給サプライチェーン実証(環境省事業)や「F-グリッド宮城・大衡」(経産省事業)などの実証実験にも参加している(提供:トヨタ自動車)

トヨタは再エネとCO2フリーの取り組みのグランドデザインも提示。現在、「地域連携・低炭素水素技術実証事業」での横浜・川崎地域でのCO2フリー水素供給サプライチェーン実証(環境省事業)や「F-グリッド宮城・大衡」(経産省事業)などの実証実験にも参加している(提供:トヨタ自動車)

東京都が独自に定めた政策目標に目を移せば、2020年の東京五輪に向けて都内でFCV6,000台(2025年で10万台)、FCバス100台以上とされている。この数字は上記のトヨタの数字とほぼ重なると言って良い。この意味でも「トヨタ環境チャレンジ2050」内の目標は、「意慾的」であってももはや「夢物語」ではなくなっている。再エネと結びつきCO2を削減できるという水素社会の最もポジティブな側面を見据え、トヨタはその実現までの筋道の一端をこの東京モーターショーで示したと言えるだろう。

 

《外部リンク》

「トヨタ環境チャレンジ2050」

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