【東京大学/新潟大学】バイオ燃料生産の鍵となる酵素の構造とメカニズムを解明

東京大学大学院農学生命科学研究科の伏信進矢教授らの研究グループは7月24日、新潟大学大学院自然科学研究科の中井博之准教授らと共同で、セルロースからバイオ燃料となるエタノールができるまでの経路にある酵素のセロビオン酸ホスホリラーゼ(CBAP)の立体構造とその作用メカニズムを初めて明らかにしたと発表した。本成果は、バイオマスからバイオ燃料やさまざまな化学製品を作る技術を開発する上で、重要な基礎的情報となる。

植物の細胞壁などに含まれるセルロースから得られるエタノールは、再生可能な生物資源と考えられている。セルロースの微生物による分解には、主に加水分解酵素(セルラーゼ)が関わるとされてきた。近年、セルラーゼの活性効率を飛躍的に増大させる酸化的セルロース分解酵素の存在が注目されている。セルロースがこれらの酵素により分解されると、セロビオン酸(グルコースとグルコン酸が結合した化合物)ができるが、これを微生物がどのようにして利用しているのかはわからなかった。

そんな状況のもと、2013年に本研究グループの一員でもある新潟大学大学院の中井博之准教授らグループにより、新しい酵素のCBAPが発見された。CBAPがセロビオン酸に作用すると、発酵に利用されやすい化合物に分解されるが、CBAPの立体構造はわからず、どのようなメカニズムでセロビオン酸を分解しているかは不明だった。

今回、研究グループは海洋性細菌由来のセロビオン酸ホスホリラーゼの立体構造を、X線結晶構造解析により初めて解明した。また、セロビオン酸と結合した状態のCBAPの立体構造も明らかにし、セロビオン酸を分解するメカニズムが明らかになった。CBAPは微生物が植物のバイオマスを分解したあとにエタノールなどを発酵生産する代謝経路で鍵となるため、バイオ燃料生産技術を開発する上で重要な情報が得られたことになる。

[画像:2つの酵素分子が結合した二量体の状態で存在するセロビオン酸ホスホリラーゼ(CBAP)の立体構造 ©2015 伏信進矢]

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