〚リポート〛第14回英弘シンポジウム「太陽光発電事業の課題」

[画像・上:東京工業大学特命教授・名誉教授、先進エネルギー国際研究センター長 柏木孝夫氏]

日射計など太陽光関連測定機器の製造・販売で知られる英弘精機はこのほど、「太陽光発電事業の課題」と題したシンポジウムを都内ホールで開催した。当日は、メーカー・販売施工会社・各種研究機関・コンサルテーション会社などから約150名が参加。講演者には、東京工業大学の柏木孝夫氏など再エネ界のキーパソンが名を連ね、業界関係者の熱い注目を集めた。

以下、登壇者それぞれの講演内容を抄録する。

「エネルギーミックスとスマートコミュニティ」
柏木孝夫氏東京工業大学特命教授・名誉教授、先進エネルギー国際研究センター長)▼
①エネルギー自給率の向上(現状6%→25%)、②電力コストの抑制、③二酸化酸素の削減を併せた施策について講演。日本のエネルギー政策の最新状況と今後の見通しについて、エネルギー基本計画に盛り込まれた二酸化炭素25%の削減目標達成は容易でないとはしつつも、「エネルギーミックス」を講じることで可能になると説明。原子力に代わる電力として、水力、バイオマス、地熱を活用する「エネルギーミックス」でGDP1.7%の伸びを維持しつつ、9.7兆円の燃料費を2030年でも9.5兆円程度に据え置くことができるとの見通しを示した。

「スマートグリッド・スマートメータに対する取組み」
小島康弘氏三菱電機 電力・産業システム事業本部 総合エネルギーシステム技術部)▼
再生可能エネルギーの導入や電力自由化の進展で直面する課題として、周波数や配電系統電圧の変動や電力の過不足を挙げ、同社で実証を進める離島向けの系統用蓄電システムの活用、スマートメーターによるデータ収集・活用について紹介した。太陽光や風力などの再生可能エネルギーが生じる「速く小さな変動」に対しては小容量・大出力のリチウムイオン電池、「遅く大きな変動」には大容量のNAS電池で対応。電力小売完全自由化に際しては、電話会社の自衛網やキャリア網、無線を通じてスマートメーターによる30分ごとの自動計測が必要になるとした。

「太陽光発電の現状と課題~市民の目線と地域力の観点から~」
都筑建氏NPO法人 太陽光発電所ネットワーク代表理事)▼
住宅向け太陽光発電設備について、導入の経緯・理由などを問う意識調査の結果を取り上げ、その安全性や継続性を担保する予防措置の必要性を訴えた。パネルや設備のメーカーを問わずに取り換えを可能にするための標準化やリユースなどにも言及。所有権・意思決定・便益分配をコミュニティにとどめ、地域力の向上に寄与する市民のための発電設備というあり方を提示した。

「EKO・あみソーラーパークの運用状況」
添義彦氏(英弘精機 環境機器事業部)▼
2013年3月より運用している「EKO・あみソーラーパーク」のモニタリングで得られた知見を紹介。初期劣化や受光面の汚れ等により最初の1~2年でもやや大きな発電量の低下が生じるが、一方で施工ルールに準拠して設置された設備は稼働後も大きなトラブルなく稼働している状況について、また定期的なIV計測により太陽電池の性能変化を定量的に把握・管理する重要性について説明した。

「太陽光発電の大量導入を支えるシステム技術開発と大量更新時代に向けた課題」
植田譲氏東京理科大学 工学部第一部電気工学科 講師)▼
太陽光発電の特性評価のための指標、さまざまな不具合とその検出のためのモニタリング・システム開発について解説。大量に導入された太陽光発電施設が一気に故障・事故を起こし廃棄されることのないよう、設置後に安定稼働可能な期間を過ぎた設備については撤去・更新を促すシステムが必要であるとした。また、不適切な設計により損害を生じた発電設備が、適切に設計された設備と同様に保険金を受領することがないよう、正当な調査を実施できる評価機関が必要であると問題提議した。

「メガソーラーパネル診断」
前川俊哉氏JFEテクノリサーチ ソリューション本部 メガソーラー計測診断チーム)▼
メガソーラーにおけるパネル診断として、それぞれ計測単位をパワコン、ストリング、パネルとした場合の監視・診断と不具合の検出について説明。不具合パネルを特定することを目的とした、同社のメガソーラーパネル出張診断サービス「ぱねるみえ太」など、関連技術を紹介した。

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