メキシコでのCCS-EOR実施に向け調査開始 【日本総合研究所/三菱重工業/国際石油開発帝石】~経済産業省・2015年度「地球温暖化対策技術普及等推進事業」

日本総合研究所三菱重工業国際石油開発帝石の3社からなるコンソーシアムは、経済産業省が実施する2015年度『平成27年度 地球温暖化対策技術普及等推進事業「メキシコ南部におけるCCS-EOR事業実現可能性調査」』事業を9月に受託。10月末にその実施体制を発表した。

[画像・上:CO2圧入・石油増進回収法のプロセス。図示の例では原油・CO2混交物が地表にくみ上げられる(右側)が、CCS-EORではCO2は地層中に貯留される(提供:NETL)]

実施技術面ではコンソーシアム各社が有するノウハウを活用する。CO2回収では、三菱重工が関西電力と開発した吸収液「KS-1」を使用する独自の化学吸収法「KM CDRプロセス」を採用。CO2回収率90%以上を達成し回収装置の運転時の使用電力消費を抑制する。一方で、資金調達などファイナンス面を三井住友銀行が担当することも発表された。

三菱重工_CCSEOR_02

本事業では、CO2回収に際して三菱重工が関西電力と開発したCO2吸収液「KS-1」を使用する予定だ。上掲2点の写真はCO2を水とKS-1に送った実験の様子。水(上)と比べて「KS-1」(下)にはほとんど気泡がない。それだけ液中に吸収されていることになる(提供:三菱重工)

本事業では、CO2回収に際して三菱重工が関西電力と開発したCO2吸収液「KS-1」を使用する予定だ。上掲2点の写真はCO2を水とKS-1に送った実験の様子。水(上)と比べて「KS-1」(下)にはほとんど気泡がない。それだけ液中に吸収されていることになる(提供:三菱重工)

CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)は「二酸化炭素回収・貯留」と訳される。CO2を分離・回収し、安定的な地層へ圧入・貯留する技術だ。工場や火力発電所、また近年検討されているのは化石燃料から大量の水素製造する際などで、プロセスにCCSを組み込むことにより、排出されるCO2を削減できる=カーボンニュートラルとすることができる。

EOR(Enhanced Oil Recovery)は「石油増進回収法」と呼ばれる。3段階の原油採掘の最終段階を指す。一次採収は、油層の自然な圧力や重力を利用して石油を生産井まで送り出し、地上からポンプで採油する。原始埋蔵量のうち10%が一次採収で生産される。二次採収は、水やガスを圧入しその圧力により石油を移動させて生産井へと送り出す。原始埋蔵量の20%から40%が二次採収で生産される。

一次・二次を経ても残留する30%から60%の原油を採収するための技術が三次採収、すなわちEORだ。高温蒸気や専用ガス・液体により原油の粘性を低下させる化学的な方法や、LNG・窒素などを高圧・大量に圧入し残留原油を押し出す方法も存在する。

CCS-EORは、文字通りこれら2つの技術を組み合わせ、CO2削減と原油増産とを両立させる活用方法だ。すなわち、排出・回収されたCO2を油層に高圧圧入し残留する原油を取り出しつつ、元の油層にCO2を貯留させる。

原油生産量世界第10位に位置するメキシコの、南部地域で行われる計画を持つ本事業。本格実施前の調査として、まずは石油化学プラントや製油所等のCO2発生源の評価をはじめ、EOR対象油田の調査や事業経済性の試算などを、2015年10月から2016年3月まで実施する予定だ。

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