連載「100%自然エネルギー地域をゆく⑳」2050年脱炭素&100%自然エネルギーを目指すデンマーク(下)

(上)より続く】

デンマークの風力発電の累積設備容量は2015年には500万kWに達して、人口当たりに風力発電の導入量では世界一となっています。さらに電力需要のピークが500万kW程度のため、2014年頃からは風況の良いときには風力による発電量が電力需要を上回り、100%を超えることが珍しいことではなくなっています。

さらに今年の2月には風力発電による1日の発電量が、デンマーク全体の電力需要量を上回ったそうです。

このように、風力のような出力変動する自然エネルギー(VRE)が大量に導入されても、予測技術、国際連系線、分散型熱電併給(CHP)などの調整力のある柔軟な送電網と広域かつ柔軟な電力市場などにより、十分に対応できることがデンマークでも実証されています*3

●存在感示す地域熱供給

すでに2015年の最終エネルギー消費に占める自然エネルギーの割合(廃棄物相当を含む)は約30%となっていますが、その中で地域熱供給は熱利用の大きな割合を占めており、バイオマス熱利用の約47%は地域熱供給によるものでした*4。デンマークでは、古くはすでに1900年に廃棄物を焼却する際の排熱を自治体施設の暖房に使っていました。オイルショック後の1979年には熱供給法が制定され、費用対効果に基づいたゾーニング(土地利用計画)を促進しています。

これまでにデンマーク全土の熱需要の約50%、家庭用需要の約63%を地域熱供給でカバーするまでになっています(首都のコペンハーゲンでは98%に達する)。人口あたりの地域熱供給の普及率もEU諸国の中で高いレベルにあり64%に達しています。

地域熱供給の熱源に占める自然エネルギー(主にバイオマス)の比率も1980年代以降、石炭からの転換により、順調に上昇してきており、2015年には約48%に達しています(図2)。

[画像・上:図2=デンマークの地域熱供給の熱源の推移(出所:デンマークエネルギー庁)]

(松原弘直=認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)理事・主席研究員)

*3Eric Martinot(2015) “How is Denmark Integrating and Balancing Renewable Energy Today?” http://www.martinot.info/renewables2050/

*4:*4:“The state of renewable energies in Europe, edition 2016, 16th EurObserv’ER Report” EurObserv’ER , 2017

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