《リポート》「下水道は資源の宝庫」 ~(一社)国際海洋科学技術協会/創エネ・省エネ研究会「市民勉強会」より

12月4日、国際海洋科学技術協会創エネ・省エネ研究会が主催となり、水素をテーマとした市民勉強会が都内で開催された。水素社会にまつわる各方面からの議論がなされたが、今回はその中から下水由来の資源活用に関する提言を採録する。

[画像・上:「市民勉強会」会場]

「下水道から得られる汚泥は、エネルギー需要地である都市部で発生する『都市型バイオマス』です」と切り出したのは、国土交通省・国土保全局下水道部の太田太一氏。下水汚泥から水分を取り除くと、その8割は有機分だ。そこからメタンCH4を主成分とするバイオガスを作り、炭素原子を取り除くガス改質を経れば水素が精製できる。

演壇に立った、国土交通省・国土保全局下水道部の太田太一氏

演壇に立った、国土交通省・国土保全局下水道部の太田太一氏

2013年度実績だと全国で約3億3,000万㎥のバイオガスが生成されたが、そのうち約3割にあたる約9,000万㎥が使い道なく焼却処分されている。最新のデータによると、そこから年間約1.3億から1.5億㎥の水素が精製可能と国交省は試算している。

下水道は熱利用も可能だ。下水は水温が10℃程度で一定なので、地中熱利用と同じ要領で気温との温度差エネルギーを利用し冷暖房に活用できる。利用可能な賦存量は540Gcal時、約80万世帯の年間熱利用量に相当するという。

さらに下水汚泥の有機分を固形燃焼すれば石炭代替燃料になる。リン成分を回収すれば肥料になる。メタン発電の開発も進む。まさに「下水道は、エネルギーも含む『資源の宝庫』」と言える。

こうした、大きな可能性を持つ下水道の利活用技術を開発するための国交省の事業が「下水道革新的技術実証事業」(B-DASHプロジェクト)だ。福岡市で2014年度から実証が進められている事業では下水由来の水素製造を推進。ステーションで一般にも供給を開始した。

下水汚泥は人間生活に伴うものであり、質・量が安定的であることも太田氏は強調する。「収集の必要がない『集約型バイオマス』であるとも言えます」(太田氏)。したがって地産地消の概念とも親和性が高い再エネだ。

こうした下水道由来の豊かな資源をさらに広域で活用するべく、省庁横断で産・学も加わり議論が行われている。波及・関連する産業分野も多いだけに、今後の動向に注目したい。

《外部リンク》

国交省「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)」概要説明

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下水から水素、ステーションで運用。福岡市で一般FCVに供給開始(2015/12/4)

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