太陽光発電協会(JPEA)の「2015年度・国内太陽電池出荷統計」を読む:新たな局面迎える太陽光発電事業

一般社団法人太陽光発電協会(略称:JPEA、代表理事:長榮周作パナソニック株式会社代表取締役会長)はこの5月、2015年度第4四半期及び2015年度通年の太陽電池出荷統計を発表した。

太陽電池出荷統計は、JPEAが国内の関連企業を対象に日本における太陽電池の出荷量、及び日本企業における太陽電池の出荷量を調査しているもの。今回は42社中40社からの回答を得ている。

その数値は「前年度割れ」している。ただ、その一事をもって業界全体の地盤沈下と見るのは早計ではなかろうか。発表された各種データを詳細に読み込み、太陽光発電の今後50年、100年を見据えた分析と解釈を行った(記事中資料はJPEA)。

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■2015年度第4半期

当期のモジュール総出荷量は2,164MWで前年同期比76%、セルの総出荷量は867MWで前年同期比58%となった。このうち日本企業のモジュール総出荷量は1,454MWで前年同期比77%、セルの総出荷量は867MWで前年同期比66%。

また、モジュールの国内出荷分は1,982MWで前年同期比73%だが、海外出荷分は182MW、前年同期比143%と伸び、特に国内生産分の海外出荷は128MW、前年同期比229%に達する。

モジュールの総出荷量における日本企業と外国企業の比は67対33で2013年度以来あまり変動していないが、国内生産と海外生産の比では、47対53と、このところ国内生産比率が高まる傾向が見える。特に、日本企業の出荷したモジュール1,454MWのうち、国内生産分は1,005MW、前年同期比100%であり、出荷の減に伴う生産量の調整は海外生産で行われた形となっている。

■2015年度全体

モジュールの総出荷量は7,957MWで前年度比81%と、2007年度から2014年度まで連続して増加してきた出荷量が2015年度には減少に転じた。国内出荷量は7,137MWで前年度比77%。

総出荷量は年度を通じて、すべての四半期で前年同期を割り込んだが、特に第2、第4四半期が低い。出荷量としては第1四半期から第4四半期に向けて増加しているが、昨年度を含め、これまでは第4四半期に出荷が急増していた分、増加傾向が緩やかな今年度は相対的に落ち込んだ結果となっている。

■まだまだ順調に伸びている太陽光発電

昨年度あたりから、太陽光発電はひと頃の勢いを失ったとする向きが散見される。

しかし、出荷量は太陽光発電設備の増加量と対比すべきデータである。2011年度からの5年間で、国内出荷量の累計は30GWに達する。全てが発電事業用ではなく、また故障などで廃棄されるモジュールもあると考えれば、これがそのまま発電設備の増加分と捉えるのは正しくないが、この5年間の急激な伸びのほとんどは発電事業用であろう。

資源エネルギー庁の資料によれば、2011年度の国内の発電設備容量は245GWほど。当時は、新エネルギー等全体で約0.6GW、全体の0.2%強であった。2014年度では、全体が252GWで新エネルギー等は約4.7GWと1.9%を占める。この間の増加分のほとんどが太陽光発電であることは疑いない。

■「支援政策」も「次のステージ」めざせ

太陽光発電が伸び悩んでいるという言説は、急激なFIT価格低下や、改正再エネ特措法との関連でもっともらしく語られることもある。ただ、非住宅太陽光のFIT認定容量は2016年2月末時点で、約75GW。一方、固定価格買取制度後の累計導入量は、2016年2月末時点で約23GWである。認定済だが未導入という案件が多数あるわけで、FIT価格低下が出荷量の減少の原因とみることは無理がある。

改正再エネ特措法は、認定を受けたが事業に着手しない「滞留案件」を減らすための制度を盛り込んだ。そのほとんどが太陽光発電だとされる。

改正法施行を睨み、急に動きを再開した地点もあるという話も聞く。数量を算定できるわけではないが、モジュールの出荷にも、駆け込み需要的な増加はあるかも知れない。

しかし、「滞留案件」であっても、新規参入した事業者が当初想定しなかった困難に直面しているなど、必ずしも意図的な引き延ばしが原因とは言えないものもあるだろう。今後の太陽光発電普及に向けて、事業への意欲はありながらも技術的、制度的に困難を抱えている事業者への支援も重要ではないだろうか。

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