《リポート》JCEP第10回講演会「温泉地熱発電のスマート利用」:「街づくりの中の地熱発電」鍵に

[画像・上:JCEPの第10回講演会が行われた、スマートコミュニティJapan2016のメインステージ]

東京ビッグサイトで行われた「スマートコミュニティJapan2016」において、一般財団法人日本クリーン環境推進機構(JCEP)の第10回目の講演会が開催された。

今回のテーマは「温泉地熱発電のスマート利用」。地域活性化のヒントを得ようと詰めかけた250人以上の参加者で会場は埋まった。

地中の火山性蒸気を利用して発電する地熱発電。その原理から、地熱発電の適合地は温泉地帯であることが多い。

JCEPは、温泉によるバイナリー発電と温泉熱有効利用を推進する全国の事業に対し、事業計画作成や企画立案、調査・研究の面でサポートする各種取り組みを展開している。

実際に温泉地熱発電分野担当として全国を駆け回っている、JCEP理事の鈴木和幸氏も登壇。地震により被災地となってしまった熊本での取組みを紹介しつつ、「地熱温泉特区」創出のアイディアも披露した。

壇上では、NTTデータ経営研究所の齋藤三希子氏がコンサルティングの立場から、温泉熱を活用した地場産業振興の可能性を指摘。加えてIHIの山口友彦氏が、メーカーの立場からバイナリー発電運用時のポイントを語った。

そしてもう一人、実際の事業者として講演したのが、福島県福島市土湯温泉からやって来た元気アップつちゆの代表取締役・加藤勝一氏だ。

東日本大震災で大きな被害を受けた土湯温泉。それを契機に、地元NPOや温泉組合が共同出資して元気アップつちゆは設立された。

講演を行った一人、元気アップつちゆの代表取締役・加藤勝一氏

講演を行った一人、元気アップつちゆの代表取締役・加藤勝一氏

◆発電事業はSPCで

「停電の無い温泉場に」を合言葉に、同社から100%出資でSPC(特定目的会社)を2013年に2社設立。「温泉エナジー」社でバイナリー発電を、「清流エナジー」社で小水力発電を、それぞれ展開している。

設立に際しては独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の債務保証制度を活用。それにより福島信用金庫から融資を受けることができたとのことだ。設備利用率は95%超。FITによって売電し、年間約1億円の売電収入見込みを立てている。

◆街づくりと再エネ

泉質への影響に対する根深い疑いの目は、まだ存在する。だからこそ温泉地熱発電事業を円滑に推進するキーは、何をおいても地域住民や事業者などのステークホルダーのコンセンサスと協力だ。その意味で、地域の温泉業者が前面に出て事業を強力に推し進める土湯温泉の例は、理想形に近い。

一方で加藤氏は「再エネ事業は、あくまで街づくりの中の一事業です」と強調する。各種許認可を取得するだけで2年間かかったとのことだが、それでも途切れなかった事業推進への意欲の源には、「『自分たちの街だから』という意識」があるという。

「地震で3日間の停電を経験して、エネルギーに対する見方が変わった」と語る加藤氏。講演は次のように締めくくった。「震災が無ければ、発電事業を始めることなど思いもよらなかったでしょう。我々はこのピンチをチャンスに変えるべく、少子高齢化など街が抱える問題への対処と一体として、エネルギー事業に取り組んでいます」

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