東亜グラウト工業 下水熱で都市部のエネルギー利活用をさらに効率的に

未利用エネルギーである下水熱。その利活用開発を行っているのが、土地の地盤改良・斜面防災・管路インフラメンテナンスなどを手掛ける東亜グラウト工業(東京都新宿区)だ。創業半世紀を超える今、エネルギー分野に取り組む狙いとビジョンを聞いた。

[画像・上:東亜グラウト工業による下水熱利用技術イメージ]

▼「都市型」の未利用エネルギー=下水熱

地球温暖化防止のためには、熱供給についても脱炭素を図る必要がある。地中熱については話題になることも多いが、掘削が必要でハードルが高く、事前に地中環境について調べるにも限界がある。

この点、下水は、新たに掘削する必要はない上に、四季を通じて水温の変化は少なく、資源量も流量として把握可能であり、空調や給湯、さらにはロードヒーティングなどの熱源として適している。下水熱は、基本的に、都市など需要地近傍にある熱源であると言えるが、これまで利用が進んでいなかった「未利用エネルギー」である。

一方、日本の下水道は、既に耐用年数を経過している管路が増えてきているという。老朽化対策として、既存の管路を活かしつつ、新管と同等以上の品質で改良する「管路更生」を手がけているのが、今回紹介する東亜グラウト工業。同社の「ヒートライナー工法」は、管路更生技術に、下水熱採熱管敷設を組み合わせる一石二鳥の技術だ。

1958年に設立された同社は、社名にもなっているグラウト工法による地盤改良や、斜面の防災、そして管路メンテナンスが主な活躍のフィールド。ヒートライナー工法に用いられている技術の基本は、シームレスシステム工法と呼ばれ、管内に引き込んだ更生用のライナー材を空気圧で拡張、光照射機械で硬化させるもの。単に管路に内貼りするのではなく、耐酸性ガラス繊維によるライナーは、硬化後、それ自体が管としての強度を担うという。

▼下水熱開発で豊富な実績

同社では早くから下水熱に着目し、2012年には国土技術政策総合研究所や積水化学工業などとともに、国土交通省の下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)として、管路更生型の採熱・運用技術の研究に参加した。

その後、新潟県十日町市で下水熱利用実証研究を進め、2014年には、一年間を通じての空調利用、2015年には駐車場の融雪利用について成果を得たもの。豪雪地として有名な同市において、冬季の暖房でCOP(エネルギー消費効率成績係数)6.0を超える高効率運転を実現。夏季の冷房も含めた年間平均でもCOP5.9の実績を得たという。

ヒートライナー工法の特長の一つが、口径の小さな管への施工が可能なこと。市街地では中小口径管の割合が約8割とも言われる。十日町市の実証研究では、口径800mmの管から採熱を行ったが、同社は昨年、中部電力子会社のシーエナジーから長野県小諸市内の業務を受注、250mmという国内の下水熱利用事業において最小口径の事例を手がけた。

小諸市の例では、同じ熱源から空調、融雪、給湯と多用途同時運転を行っている。もちろん、この2種類に限定ではなく、さまざまなサイズに対応可能。100mmなどの小さい管に取り付けることも可能であるし、自立管でなくてもよいなら、800mmを超える管に施工することもできる。

▼下水熱利用の融雪技術調査開始

今年度は、国土交通省のB-DASH予備調査事業の一つとして、十日町市内で下水熱を利用した車道融雪技術の実用化に向けた調査を行う。下水道網は道路同様公共インフラであり、道路に沿って存在するため適性が高いと考えられる。

今後の普及に向けては、国を始めとした公共セクターの理解、協力がカギとなる面はあるが、下水道の老朽化リスクを解消し、安定したエネルギーが確保されるという一石二鳥の技術であるヒートライナー工法。地方ではまだ耐用年数を迎えていない管路もあるだろうが、今後、まさにタイムリーな技術として注目を集めそうだ。

東亜グラウト工業・技術開発室の田熊章室長。下水熱利用技術を懇切に説明していただいた

東亜グラウト工業・技術開発室の田熊章室長。下水熱利用技術を懇切に説明していただいた

東亜グラウト工業株式会社

【本社所在地】東京都新宿区四谷2-10-3

【電話】03-3355-6200(代表)

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