寄稿「第15回世界風力エネルギー会議」 ISEP主席研究員:松原弘道氏がレポート

日本国内では初となる第15回世界風力エネルギー会議(WWEC2016 Tokyo)が10月31日・11月1日の二日間に渡り東京大学本郷キャンパスで開催されました*1。本会議は世界風力エネルギー協会(WWEA)*2と日本国内の組織委員会が共同で主催し、世界33カ国から約500名の参加者により世界中の風力発電に関する様々なテーマについて発表や議論が行われました。

[画像・上:第15回世界風力エネルギー会議の閉会式(筆者撮影)]

2012年にドイツのボンで開催されたこの会議に筆者は初めて参加し、2014年の上海に引き続き、3回目の参加となりますが、世界からみた日本の課題がより浮き彫りになってきていることを感じました。世界の風力発電の設備容量は2015年に原子力発電を上回り、欧州各国や中国・インドなどの新興国で風力発電の導入が大幅に進む中、日本の風力発電の中長期目標は低く、導入量は依然として低迷しており、電力系統の制約や環境アセスメントの手続き、社会的な合意形成など多くの課題があります。

二日目の全体セッションには筆者も登壇して日本の現状と課題について報告をしましたが*3、パリ協定の締結が意味する100%自然エネルギーに向けた風力発電の役割が議論され、世界の風力発電をリードする中国、ドイツ、米国など各国の政策や先進的な取組みが紹介されていました。日本でも大きな課題となっている電力システムとの統合については、先行するこれらの国々で様々な知見が得られており、日本が進むべき方向性が示されています。一方で、風力発電が増えつつある発展途上国でも様々な課題があり、社会的合意形成に関するパラレルセッションでの議論では、人材育成や開発資金、社会的な合意形成においてドイツなどでの先進的な取り組みが紹介され、土地の利用計画(ゾーニング)や地域のオーナーシップを重視するコミュニティパワーの重要性が指摘されています。全部で25のパラレルセッションは、5カ所の会場に分かれて開催され、技術的な分野から政策分野まで様々なテーマで議論が行われましたが、日本でも実証試験が進んでいる洋上風力発電は、欧州を中心に導入が進んでおり注目を集めていました。

閉会にあたり、日本を代表する風力発電の第一人者として足利工業大学の牛山泉先生が長年の取組みに対してWWEAから表彰を受け、次回の会議がスウェーデンのマルモで2017年6月に開催されることが紹介されました。世界の風力発電の現状と方向性が議論され、日本が進むべき方向が明確になったとても有意義な会議でした。

(松原弘直)

*1:第15回世界風力エネルギー会議 http://wwec2016tokyo.com/

*2:World Wind Energy Association(WWEA) http://www.wwindea.org/

*3:ISEP「自然エネルギー白書2016サマリー版」 http://www.isep.or.jp/jsr2016

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