木質バイオマス導入事例レポート:群馬県上野村(上) 地域資源としての木材を活かしカスケード利用

木質バイオマス利用は全国各地で関心を集めているが、具体的な事業例となると、まだ多くはない。特に、未利用材2MW未満のFIT価格に魅力を感じて検討を始めるものの、燃料調達に悩んでいるという話はよく聞く。こうした中、林産地としての資源活用からアプローチし、木質バイオマス発電を事業化できたのが群馬県上野村(うえのむら)だ。現地を訪ね、視察してきた。

[画像・上:村の多くの面積を山林が占める群馬県上野村]

上野村について

上野村は群馬県の南西部、長野県、埼玉県との県境に位置する村で、多野郡に属する。険しい山間にあり、面積は181.1k㎡、このうち林野面積は170k㎡を占め、国有林が70k㎡強、森林計画対象民有林が100k㎡弱存在する。このため、可住地面積割合は7%と群馬県内で最も低いという山村だ。広葉樹林が60%と多かったため、かつては炭焼きが盛んであった。最盛期には人口は3,000人ほどだったが、現在は1,300人を割っており、群馬県で最も人口の少ない自治体である。

山間の過疎地域ではあるが、2005年、2012年と順次運転開始した東京電力神流川発電所(揚水式発電所)からの固定資産税収入により、財政力は極めて高く、地方交付税の不交付団体となっている。

村では、村営住宅の建設や株式会社「きのこセンター」の創設による雇用促進といった定住対策を進めている。これまで200人ほどのIターンを実現したという。また、特産品開発にも熱心で、イノブタなどが有名だ。

林業活性化のため林産資源を無駄なく使うことがきっかけ

林業はもちろん村の主要産業であり、年間8,000㎥ほどの木材を製材、加工している。村では、林業活性化のため、木材資源を材木にするだけでなく、チップやペレットに加工することで、カスケード利用(多段階でひとつの素材を利用)を目指した。このため、2011年7月に毎時800kgの製造能力を有するペレット工場を建設。建設材にならない、いわゆるC材を原料に、村内に整備した温浴施設用ボイラーの燃料として供給を行った。おりしも原油価格高騰に見舞われたころであり、これら施設の運営経費低減に成功した村では、村内の公共施設の暖房にもペレットストーブ導入を図り、また家庭用向けにもペレットストーブ購入に向けた補助(8割)なども行った。

バイオマスコジェネを導入し、電気と併せて熱の有効利用にも取り組んだ

バイオマスコジェネを導入し、電気と併せて熱の有効利用にも取り組んだ

《「木質バイオマス導入事例レポート:群馬県上野村(上)」に続く》

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