【ルポ】青森県横浜町の「小形風力ガイドライン」を追う(下)

《「青森県横浜町の「小形風力ガイドライン」を追う(上)」から続く》

小形風力の計画・立地状況を自治体が把握しきれないという問題点

青森県横浜町では、ガイドラインを制定、公表したことで、多くの事業者から連絡があった結果、町内に多くの案件が認証され、また系統連系についても進捗しているという事態がはじめて分かったという。その多くが、今後の動向は不透明となっているが、問題は、着工間近で多くのお膳立てが終わってから初めて、地方行政として事案を知るという状況の方だ。

町も主体的に関わる方が望ましいとは述べたが、殊に横浜町の場合、風は町の資源としているわけであり、町自体が地域づくりに風車の立地を有機的に取り込んでいけるのが理想だろう。ここで奇異に感じたのが、これら小形風力のほとんど全てがFIT案件であるのに、横浜町はFIT認定申請の情報から立地動向を知ることができずにいたという点である。

今回の件に限らず、資源エネルギー庁では、FIT認定申請情報を省庁間のみならず自治体とも共有できる仕組みをつくった。横浜町の担当もそのことは知っており、アクセスの申請はしたが、町の情報システムが規定を満たしていないという理由で、接続は認められなかったという。

町の担当者は、国が求める水準の情報システムを構築できていない町の責任であると言うが、責任論で済ませては事態が改善しない。もちろん、情報システムも自治体支援も所管は総務省で、経産省が乗り出すことは困難だろうが、省庁間の連携が問われる場面である。あるいは都道府県が事態打開の鍵を握るのかも知れない。

下北半島地域では、多くの大形ウィンドファームが立地する中、地元への経済メリットが少ないことが長年批判されてきた経緯がある。地元からの事業参入が望まれたが、大型風車は巨額の資金を必要とし、青森県の地元経済界にはハードルが高かった。ようやく地元による事例も見られるようになった昨今だが、投資規模が小さく、買取価格も高い小形風力の参入障壁の低さは大きなチャンスだ。

そのためにも、望ましい地点への立地と、地元経済界からの参画を、町が誘導できるような仕組みが望ましい。かなり話が煮詰まってからでないと風車の立地を知り得ないという現状が、町が主体的に参画するタイミングを失わせ、もはや機械的な線引きによる規制を行うしか手段がないところに追い込んだように見える。

日本では風力発電の適地は限られている。太陽光発電に偏っていると言われる日本の再生可能エネルギーのバランスのとれた普及にとっても、風を大切な資源と呼ぶ町の地域振興にとっても、ともに成果があげられる未来に向けて、協調と連携が問われている。

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