森山ディーゼルが国内初の風力発電設備メンテナンス専用車両を製作

風力発電設備のメンテナンス業務を手がける森山ディーゼル(青森県青森市)は11月18日、風力発電設備の増速機オイル交換に使用する専用車両を自社製作し、関係者に公表した。同種の車両は欧州や米国では使用されているが、国内ではこれまで例がなかったもの。

[画像・上:搭載された設備について解説する宮本本部長。製作にあたった責任者でもある]

国内の風車の多くは、ブレードの回転でそのまま発電機を回すのではなく、増速機を用いて発電に適した回転速度を得ている。増速機は定期的にオイルを交換する必要があり、風車のメンテナンス作業の中でも高所で狭いナセル内でのオイル交換は危険でつらい作業と言える。また増速機内のオイル量も、200~300ℓ程度と多い。20ℓのオイル缶をウインチ等で何度も上げ下ろししながらの作業は効率も悪く、長時間を要する。同社の説明資料では1,500kW級の風車の例で240ℓのオイル交換に380分を要するとのことだ。

今回完成した専用車両では、ホースをナセル内に引き込めば毎分10ℓで連続的にオイルを注油することが可能となる。また、作業手順としてはこちらが先だが、廃油もホース経由で抜き取りできる。これにより、作業時間はさきの1,500kW級風車で130分と格段に短縮されるという。

このため、専用車両にはオイル圧送用のポンプと、交換用の新しいオイルや廃油を積載するための1kℓタンクを6基備えている。また、延長100mのホースを収めたリールが4基と、現場で電源が確保できない場合に備えた非常用発電機を搭載する。これらを一台の車両に全て収めたものが、今回、国内初となる風力発電用増速機オイル交換専用車両のあらましで、制作費はおよそ3,000万円程だ。

車両製作のきっかけは、同社の風力発電事業本部長である宮本政一氏が2011年、2012年にドイツやオランダの風力発電事情を視察したことにある。宮本氏はオランダで専用車両に出会い、ナセル内での作業ぶりも視察してきた。帰国後、同社事業への導入を考えたが、国内に同種の車両は存在せず、ならば製作しようということになった。

同社はもともと自動車整備業者であり、大型車両向けの整備工場を有する。専用車両の開発も同社のコンピテンシーを活かしたものと言えるが、問題となったのは肝心のポンプ。1年ほども探したが、国内では求める諸元を満たすものが調達できなかったという。結局、オランダから輸入して搭載したのが、視察した車両に搭載されていたものと同じ機種だとのこと。

2010年から青森県のサポートも得ながら風力発電施設のメンテナンス業務に参入した同社は、地元企業として同業界にチャレンジしたパイオニア。今や同県内で大型風力発電所の開発も手がける同社は、ユーラスエナジーなどの大手事業者のメンテナンス業務を担っている。今回の専用車両の投入でメンテナンス業務の生産性は大幅に向上する。

専用車両の完成を祝いリンゴジュースで乾杯する関係者。副知事も出席し祝辞を述べた

専用車両の完成を祝いリンゴジュースで乾杯する関係者。副知事も出席し祝辞を述べた

式典で挨拶に立った同社の森山博社長は「風力発電事業は安全性の高い事業でますます需要が増える。雇用の拡大が見込まれ利益も地元還元される」と期待を滲ませる。また、来賓に招かれた青森県の佐々木郁夫副知事も、祝辞において「この分野の先駆けとして大いに県内を牽引していただきたい」と語った。

同社ではこれを機に、さらに多くの地点のメンテナンスを手がけるべく営業活動を強化する方針だ。専用車両によりメンテナンス作業がスピードアップすることは、発電事業者にとっても風車の停止時間が短縮するメリットに繋がる。まさにウィン・ウィンだと宮本本部長は語る。顧客からも既にこの車両の投入を待望する声が寄せられているとのことだ。

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