第38回「風力エネルギー利用シンポジウム」レポート(上)

(一社)日本風力エネルギー学会は、11月30日(水)及び12月1日(木)の2日間、科学技術館(東京都千代田区)において、第38回風力エネルギー利用シンポジウムを開催した。約300人を集めたシンポジウムでは、政府や関係機関、企業による依頼講演が行われるとともに、多くのテーマで研究発表が行われた。開会にあたって挨拶に立った日本風力エネルギー学会会長の石原孟(たけし)東京大学大学院教授は、冒頭、2015年は再エネにとって記念すべき年になったと述べ、再エネの設備容量が石炭火力を超え、また関連投資額で発展途上国が先進国を上回ったことを紹介。一方、風力発電については、国内では300万kWとまだまだ少ないが、現在環境アセスが進行している案件を加えれば、既に1,000万kWを超えていると発言。国の2030年度の目標値を2020年代の早い時期に達成できるのではとの期待を明らかにした。

開会挨拶をする日本風力エネルギー学会会長の石原教授

風力普及に5つの課題

基調講演では、風力発電に対する国の取組が紹介された。

経済産業省資源エネルギー庁の山﨑琢矢新エネルギー課長は、再エネの現状とFIT制度見直しに触れた上で、風力発電導入拡大への取組と課題を紹介。風力発電導入促進には、系統制約の解消、環境アセスメントの迅速化、洋上風力の推進、地域との共生、風力発電産業の競争力強化の5つの課題があると述べた。

系統問題は根が深いが、北海道や東北三県で具体化した問題も、一歩一歩解決策を進めている。また、環境アセスメントについては、環境省と連携し、現在3~4年を要している期間を半減させるべく取り組んでいる。
洋上風力については、国土の狭い日本では重要としながら、技術、制度、コスト、インフラそれぞれに課題がある。こうした課題をとりまとめ、経産省では「一般海域における洋上風力発電導入ガイド」を年度内に作成予定という。

経済産業省の山崎新エネルギー課長は普及に向けた課題を語った

また導入が進むにつれ地域住民等とのトラブルが発生するようになってきている。更なる風力発電導入のためには、自治体、地域住民、農林漁業者等との合意形成が重要とし、風力発電に関する地域協議会といった対応を紹介した。

競争力強化では、今年8月から開催された「風力発電競争力強化研究会」での検討結果を紹介。2030年までに発電コストを現在の世界平均並みである8~9円に引き下げるとともに、FITから自立した導入を目指す。

山崎課長は、世界では既に風力は基幹電源であり、日本でもそうなるために、産官学の連携強化が必要と述べ、講演を締めくくった。

「第38回『風力エネルギー利用シンポジウム』レポート(下)」に続く】

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