第38回「風力エネルギー利用シンポジウム」レポート(下)

「第38回『風力エネルギー利用シンポジウム』レポート(上)」より続く】

港湾洋上風力発電への国の取組

続いて国土交通省港湾局海洋・環境課の佐々木宏課長は港湾における洋上風力導入について講演した。

洋上風力の導入空間として、港湾は電力系統が充実し、港湾インフラが近接していることで、建設や維持管理に適し、さらに港湾管理者の存在により、関係者間の調整や海域管理が容易というメリットがあるという。

今年7月から施行された改正港湾法により、占用公募制度が創設されたことで、風力発電施設による港湾区域の占用が行いやすくなった。国交省では円滑導入に向け同法施行と同時に「港湾における洋上風力発電の占用公募制度の運用指針」を公表している。佐々木課長はこの占用公募制度について、仕組みや手続きを解説した。また、同制度を活用して8月に事業者公募を開始した北九州港の事例を紹介した。

国土交通省では、洋上風力発電施設の審査のため、経済産業省との連携のもと、統一的な考え方に基づく審査基準策定の作業を進めている。現在、風力発電施設では電気事業法に基づく審査がなされている。もともと構造物としては建築基準法に定めがあったが電気事業法に一本化した経緯がある。このほかに港湾内の洋上風力は、港湾法上、航路からの離隔距離や洗堀、あるいは地震津波の影響などへの対処が求められるが、設計する上での基準は明確ではない。

このため、経済産業省と国土交通省が共同事務局となって、港湾における洋上風力発電施設検討委員会を設け、設計技術WGを今年9月に立ち上げた。来年2月を目途に「洋上風力発電施設の構造の審査基準(骨子)」を策定予定。2017年度には同基準の詳細版を纏めるとともに、今後、加工技術WG、維持管理技術WGを順次立ち上げる予定であるとのことだ。

安全規制と審査体制、そして定期検査導入

続いて、経産省商務情報政策局商務流通保安グループ電力安全課の正影夏紀課長補佐が、風力発電施設の安全対策について講演した。

現行規則では、500kW以上の風力発電設備は、事業者が工事計画の届け出を行い、国による使用前安全管理審査を経て使用開始となる。洋上に設置するものやJIS規格外の材料を使用するものなど、特殊な風力発電設備については、3~4名の専門家による専門家会議での検討を経て、審査結果を取りまとめた後に工事開始となる仕組み。

経済産業省では事故事例を踏まえて技術基準見直しを進めてきている。特に2013年は事故が多く、風車の落下や落雷による火災などがあった。これら事故事例は、新エネルギー発電設備構造強度WGにおいて、公開で議論される。風車落下については2014年6月に、落雷事故については2015年2月に技術基準見直しを行った。

一方、風力発電設備に対する定期検査が義務化される。来年4月からの施行に向け、制度運用の設計中。基本は事業者の自主検査を義務付け、国がこれを監査する。短期出力で500kW以上を対象とし、国内設備の92%が対象となる予定であるという。

研究開発、競争力強化、そして人材育成

さらに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)新エネルギー部の梯氏が、風力発電研究開発事業を紹介。昼食を挟み、カーボン・トラストのヤン・マティーセン氏による特別公演が行われた後は、風力発電の競争力強化や人材育成をテーマとした講演が行われた。

12月1日の一般研究発表は、3会場に分かれてのセッションが行われた。洋上風力発電、電機システム、メンテナンス、経済性評価、騒音・環境影響評価、また垂直軸風車、小形水平軸風車、大型風車といった風車の形式ごとに分かれての風車開発に関するテーマ、さらには風況観測、予測技術などの多くのテーマごとに、大学・研究機関や企業からの発表が相次ぎ、活発な議論が展開していた。

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