【リポート】第36回水素エネルギー協会(HESS)大会(下) 学生研究に対する表彰も

(上)より続く】

大分大学・河野夕希子氏ほかのチームは、「希土類酸化物担体を用いたアンモニア合成用担持ルテニウム触媒の開発」を発表。水素キャリアの一つとして期待されている、アンモニアNH3を生成するための触媒についての研究成果を披露した。

工業用途としてのアンモニア生成技術は、ハーバー・ボッシュ法が約100年前から確立されて現在に至っている。ハーバー・ボッシュ法では水素と窒素を超臨界流体状態にして反応させ、アンモニアを合成するために、400℃を超える高温と30MPaを超える高圧の条件が必要になる。

本研究チームは、再エネを利用して空気中の窒素を反応物とすることを前提にしている。これに相応しい触媒として研究チームが注目したのが、希土類酸化物担持Ru(ルテニウム)触媒だ。様々な希土類酸化物にRuを担持させた触媒を製作し、アンモニア合成の観測を行った。

結果、特定のRu触媒では高活性になることが示された。Ru系の触媒は水素の被毒を受けやすい。アンモニア生成においても圧力が上昇すると被毒によって活性が低下する。しかし希土類酸化物を担体とすることでこの被毒を受けにくくなっていることを確認した。

併せて、塩基性(電子の渡しやすさ)との相関関係という、Ru触媒・アンモニア合成の基本性向は希土類酸化物担持Ru触媒を用いても存在することを確認している。再エネ由来で空気中の窒素を反応物とするという、これからの時代のアンモニア生成用触媒を選択する際の基準作りに資する成果と言える。

以上2件の学生優秀発表(講演)賞に加え、2件の学生優秀発表(ポスター)賞が選ばれた。

◆酸化マンガン酸素生成触媒のin-situ XAFS測定(慶應義塾大学・山元二葉氏ほか)……高い活性・自己再生特性・pH窓の広さなど、光電極の酸素生成触媒として有力視される酸化マンガン触媒K:MnOx。その活性のメカニズムを明らかにするべく、電気化学制御下におけるX線吸収微細構造(XAFS)法を用いて、触媒中のMnの電子状態をin-situ(オペランド)観測した。

◆アンモニア合成用Ru触媒における担体および助触媒の影響(筑波大学・平良有紗氏ほか)……ハーバー・ボッシュ法に代表される、従来のアンモニア合成で必要な高温・高圧条件。そこで、合成設備の小型化や変動電源への対応などを視野に、Ru触媒を用いてより温和な条件下での生成を目標に据える。このRu触媒には担体として細孔構造の異なるカーボン材料を用い、助触媒としてバリウムBaやセシウムCsを担持。アンモニア合成活性を検討した。

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