「熱→光」で効率的に発電 熱輻射を効率的にコントロール 京都大学/大阪ガス

熱輻射を制御することで、太陽電池の効率的な発電につなげる新たな技術が開発された。開発にあたったのは京都大学大学院工学研究科准教授・浅野卓氏や大阪ガスほかの研究グループ。

[画像・上:今回開発された、熱輻射光源の円柱型光ナノ共振器(提供:大阪ガス)]

高温に熱せられた物質は光を発する。これは、物質内部の電子の振動が加熱によって大きくなり、この振動のエネルギーが可視光レベルにまで大きくなるからだ。

この、光を放出する現象を熱輻射、もしくは熱放出という。熱輻射は物質同士が接触していなくても電磁波として空間をまたぎ、別の物質の分子を振動させることで熱を伝達する。

この熱輻射の原理を用いた身近な例としては、ハロゲンヒーターなどがある。そして、我々が現在利用できる最大の熱輻射が太陽光ということになる。

熱輻射は様々な波長の光を放つ。太陽光で典型的だが、紫外線や赤外線など可視光以外も含まれる。太陽電池の場合、セルの薄膜がこの広い波長領域の一部領域しか吸収・反応しない。反応する波長域の異なる薄膜を複数積層して30%程度のエネルギー効率を示す多接合型(タンデム型)と呼ばれる太陽電池も研究開発が進められているが、現在実用化されている一般的な単一種薄膜セル仕様の太陽光電池だと20%ほどとなる。

本開発では、光の成分のうち可視~近赤外線の波長で強い輻射が発せられる一方、長波長域では広い領域で輻射が抑制されている(提供:大阪ガス)

本開発では、太陽電池が反応する可視光線-近赤外線境界域の波長(おおよそ800nm付近)の光だけを選択的に放出できる。そのために、研究グループは熱せられて熱輻射を行う光源に、フォトニックナノ共振器と呼ばれる材料構造を新たに開発・採用した。表面に直径約200nm、高さ500nmほどの多数の円柱が林立する共振器には、従来の研究では金属系の材料が使われていたが、長波長側の輻射も出てしまっていた。検証の結果、純粋なシリコンから作成する今回の仕様に辿り着いた。

研究チームは、この熱輻射光源を、太陽光を集光して1,000℃以上に加熱し、発せられる光によって太陽電池で発電した場合、発電効率は40%を超えると試算している。集められた全ての光エネルギーが太陽電池の発電に活用できるからこそ可能な高い効率だ。

さらに太陽熱以外の熱も熱源として利用できる。ガス・石油・石炭などの火力発電の余剰熱有効活用などの応用も期待できそうだ。

熱輻射光源を通して熱エネルギーを光に変換するイメージ(提供:大阪ガス)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Find us on Facebook

アーカイブ

カテゴリー

ページ上部へ戻る