【年頭所感・2017年:学術・研究開発⑫】柏木 孝夫(東京工業大学 特命教授・名誉教授)「脱炭素社会の実現」

本年はパリ協定の発効に伴い、脱炭素社会という難しい課題の解決に取り組む元年と言える。

まだ化石燃料を使わざるを得ない中、二酸化炭素(CO2)をどう削っていくか。その鍵となるのが再生可能エネルギーの最大限の活用と水素社会の実現だと考える。

経産省が発表した「エネルギー革新戦略」では、一昨年策定したエネルギーミックスを実現するポイントとして「徹底した省エネ」「再エネの拡大」「新たなエネルギーシステムの構築」を挙げている。出力が不安定な再エネを最大限導入するには、蓄電池あるいは水素に変換して貯蔵する仕組みが欠かせない。

さらに、今年度の予算では、福島復興を全面的に掲げ、福島を新エネルギーの発信の地と捉える予算編成に舵を切った。また、新たなエネルギーシステムの柱とされるのは、大規模集中型一辺倒の電源構成から、燃料電池やコージェネといった分散型電源へのシフトと、再エネ・省エネ融合型エネルギーシステムの立ち上げだ。ネガワット市場の創設などによってデマンドをコントロールする時代になったことも大きな特徴である。

それに加え、地産地消型エネルギーシステムの構築もうたわれている。ゴミ焼却場と市庁舎、メガソーラーなどの間に、熱導管や電線光ファイバーを統合したインフラを整備して熱と電力を融通し、余剰電力で水素を作って貯蔵するといった自治体主導のシステムである。

脱炭素社会を目指すためには、再エネからの水素の製造、貯蔵、利用技術が重要になってくるのは間違いない。すでに「水素・燃料電池戦略協議会」では再エネを使ったCO2フリー水素の利活用に関するワーキンググループを設置した。その一方で、化石燃料から水素を作る際に発生するCO2の固定化及び有効利用も大きな課題である。CO2を使ったプラスチックの生産や人工光合成等の技術開発も急がれる。

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東京工業大学

東京工業大学 先進エネルギー国際センター

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