【年頭所感・2017年:学術・研究開発⑭】亀山 秀雄(〔一社〕創発的地域づくり・連携推進センター 理事/東京農工大学 名誉教授)「太陽と水と空気と土を活用したイノベーションによる地域創生」

昨年から始まった第5期科学技術基本計画は、Society5.0の構築を目指している。自然と共生する狩猟社会から自然を包含した農業社会の形成に進み、自然が蓄えた地下資源エネルギーを活用して生産効率の高い工業社会を築き、あらゆる情報の無形資産をネットワーク化して付加価値を生み出す戦略的情報化社会が今日である。これからは自然と共生しながら自然エネルギーと情報をプラットホーム上で知的に活用する超スマート社会を構築することが求められている。そういう新しい社会を築くには、新しい考えが必要である。

本紙上でも紹介されたが、昨年の10月21日~22日「地域が元気になる脱温暖化in小田原」全国大会が社会技術研究開発センター主催で開催され、2日間で延べ750名の参加者があった。ここで取り上げられた新しい考えは、再生可能エネルギー発電会社が発電した電力を地元の電力会社が購入し、地域のガス会社が電力販売する小田原箱根エネルギーコンソーシアムによる新しいPPS事業である。これに関するシンポジウムの議論では、市民側の意識は電気エネルギーの購入から地域エネルギーの積極的利用に参加するという意識の転換が必要であるということであった。また、企業・市民・自治体の連携の必要性とその連携を構築できる地域のコーディネート人材の育成が求められた。市民と経済界のつながりが地域を変えるという市場経済での新しい考え方が議論されていた。

このような地域創生には、自然エネルギーを地産地消して新しい産業を生み出し、外部から人と資金が流入して地域でお金が回り、雇用が生まれ、人口増加をもたらす社会構造を構築するような周囲の自然を有効に活用する技術を生みだす基礎技術の開発が求められている。工業のための技術開発だけでなく、社会形成のための基礎技術開発が求められていると言える。例えば、太陽と水と空気と土を活用するイノベーションを起こして地域創生を進めていく基礎技術として次の研究がある。太陽エネルギーを利用して空気と水から肥料用のアンモニア水を製造利用するシステム技術、太陽エネルギーを利用して空気と水からナノバブルオゾン水を活用する衛生管理用システム技術、太陽エネルギーで育成されたバイオマスを原料に得られるエタノール水溶液を利用した燃料電池コジェネレーションシステム、バイオマスと土から容易にとれる炭素と鉄を主成分とした白金代替触媒を利用した自動車排ガス処理および脱臭システム技術など大学での基礎研究が進められている。これらは、実用化は10年ぐらい後になるものであるが、大学で大きな夢のビジョンの基に細々と続けている基礎研究である。

これからの教育は、地域にあるエネルギーや物の活用方法を発見して、それを経済的、社会的に応用するシステムを考案して実現し、地域社会で価値を獲得することができる研究人材とコーディネート人材を大学で育成する新しいカリキュラムの設置が求められている時代になっていると思われる。

《関連リンク》

〔一社〕創発的地域づくり・連携推進センター

東京農工大学

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