【レポート】ENEX2017(上)

省エネルギーセンターJTBコミュニケーションデザインが主催するエネルギー利用に関する技術やソリューションの総合展「ENEX2017」「Smart Energy Japan2017」「電力・ガス新ビジネスEXPO2017」が、2月15日から17日まで開催された。

[画像・上:多くの来場者が詰めかけた会場内の様子]

IoTや人工知能を活用した省エネやエネルギーマネジメントのソリューション、また新電力やガス事業分野でのサービスなど、幅広い分野で出展やセミナーが開催され、来場者は3日間合計で5万3,000人超と、昨年を大きく上回る賑わいとなった。

特に今回熱ソリューション集中展示ゾーンを設置したことに象徴されるように、熱の有効利用がエネルギー効率向上に果たす役割は大きい。最終エネルギー消費の4割が熱利用で占められる中、これまでは電力利用にのみ目が向けられがちだった再エネ分野でも、未利用だった熱に注目が集まっている。

特に、空気に比べて大きな熱容量を持つ水は、熱供給という観点や、熱源としての活用などによる省エネ効果の点で、今後の熱利用技術の鍵だ。今や、上下水道技術や水処理技術とエネルギー技術の接点が拡大している局面にあると言える。
電力・ガスの自由化による総合エネルギー企業の成立が現時点のトピックとするなら、将来の方向性は、熱供給を含め、包括的なユーティリティサービスの統合にあるのかも知れない。IoTやAIを活用したマネジメント関連のソリューションも、こうした統合を見通しながら、新たな取組を進めている。

そんな新たなうねりを感じさせた会場の模様を、ピックアップしてお伝えする。

 

東京ガス大阪ガス日本ガス協会

パネル展示とステージで、都市ガス業界としての取組をアピール

日本ガス協会と共同出展した東京ガスと大阪ガス。各社ごとの取組事例のパネル展示に加え、ステージでは両社の担当者が共同でプレゼンをする場面も見られた。

電力自由化ではスイッチングの獲得数で群を抜く東京ガスだが、ガス小売り全面自由化が迫っている今回は、ことさらに自由化にとらわれず、都市ガスのメリットと、ガス業界全体としての取組について紹介したものだ。

省エネ大賞を受賞した田町駅東口の事例などもパネル紹介されていた。都市ガスはデマンドサイドでの熱利用に適しており、エネルギーの有効利用につながる。また、電力と異なり、「貯めておくことの困難さ」がないガスは、エネルギーセキュリティやBCP対策でもメリットがある。

一方、大阪ガスが独自色を発揮したのが、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の展開だ。SOFCは作動温度が700℃以上と高く、現在大阪ガスが取り扱っているアイシン製だと発電だけの効率で50%を超える。

さらに24時間稼働しており、700Wの定格電力を出力し続ける。建物内の負荷が小さい夜間などに発生する余剰電力は、基準単価にして1kWhあたり13.00円で買い取るサービスも行っている。電力小売自由化が行われたからこその事業スキームだ。

大阪ガスは固体高分子形燃料電池(PEFC)も併売しているが、自由化以降、SOFCのほうが顧客の引き合いが多くなっているとのことだ。

自由化を機に、電力販売の取り扱いに加え総合的なエネルギーマネジメントにも注力する両社。東京ガスによる、田町駅東口北地区での地域エネルギー供給事業、大阪ガスによる、SOFCなどを導入した先進エネルギー設備システム実証であるNEXT21なども詳しく紹介された。

エネルギー利用のスマート化に向け、都市ガスとして何ができるのかといった点を実直に紹介していたブースだった。

 

中部電力

電力会社から総合エネルギー企業への変貌をアピールした中部電力ブース

今回の出展者の中では、ガス小売りへの参入勢力を代表した形となる中部電力。もちろん、ブース内でも同社の「ガスもはじめる部」のコピーを使い、アピールは怠りない。

東京電力と共に燃料調達、輸送、取引などを担うJERAは世界最大級の調達規模に到達。同社は天然ガス市場で有数のプレーヤーとなった。

ガス事業の拡大を通じて、同社は、電力とともに蒸気・冷温熱供給などを総合的に顧客に提供するオンサイトエネルギーサービスや、ローリー車による液化天然ガス販売なども手掛ける。

さらにESCO事業や50Hzエリアへの電力供給にも取り組む。

単に電力も都市ガスも供給できるということではない、総合エネルギー企業への飛躍がテーマの展示だった。

 

elDesingエフィシエント

新電力向けのサポートとなるソリューションを提供するelDesign/エフィシエントの展示ブース

小売電気事業者向けのサポートサービスを紹介したelDesignとエフィシエントのブース。は小売電気事業の事業設計など事業立ち上げについてのサポートを、またエフィシエントは小売電気事業者の実務運営に関する支援サービスを提供する。

電力小売全面自由化からもうすぐ1年となろうとしているが、小口顧客を多数抱える形となる事業には難しさも多い。両社は、コンサルティングや支援ツール提供、さらには営業や決済といった個別業務代行により、事業運営の難所を肩代わりする。

自ら地域新電力「富士見森のエネルギー株式会社」を設立した経験を有する同社は、参入まもない新電力にとって心強いパートナーだ。

 

⦅平成28年度省エネ大賞授賞式⦆

会議棟のレセプションルームでは「平成28年度省エネ大賞」の授賞式が行われた。

資源エネルギー庁の藤木部長から経済産業大臣賞の表彰を受ける東京ガスほか7者

省エネ大賞は模範となる優れた省エネ取組や、省エネルギー性に優れた製品・ビジネスモデルを表彰するもので、今年は132件の応募から、事例部門25件、製品・ビジネスモデル部門25件が受賞した。

2月15日の10時15分から行われた表彰式では、省エネルギーセンターの藤洋作会長の挨拶及び資源エネルギー庁の藤木省エネルギー・新エネルギー部長による来賓祝辞の後、経済産業大臣賞から順に表彰が行われた。

今回、経済産業大臣賞を受賞したのは、事例部門で4件、製品・ビジネスモデル部門で4件の計8件。事例部門は、産業分野がエヌエスオカムラ、業務部門が東京都市サービスほか2者、共同実施分野は東京ガスほか7者、節電部門が富士電機山梨製作所。製品・ビジネスモデル部門は製品(家庭)分野がパナソニック、製品(業務)分野がダイキン工業、製品(輸送)部門がトヨタ自動車、そしてビジネスモデル部門が日本気象協会ほか4者となった。

製品は別として、省エネ事例やビジネスモデルについては、複数の関係者が共同して取り組んだものが多く、それだけ、現在の省エネ、エネルギー利用効率向上というものが、多くの関係者の協力によって実現されるものであることを例示したと言える。

経産省では来年度予算において、複数事業者間でのエネルギー使用量削減を支援するとしているが、まさにそういった事例も受賞しており、模範的、先導的な事例を表彰する省エネ大賞らしい内容と言えた。

 

(下)に続く》

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