【レポート】ENEX2017(下)

レポート(上)より続く》

 

大分県エネルギー産業企業会

本社は神戸ながら、大分県で風車の開発を進めるダイテック

大分県エネルギー産業企業会は、同県内のエネルギー関連企業を始め、産学官連携によりエネルギー産業の育成を図る団体。会員には多くの企業が名を連ねる。

中でも興味深い展示を行っていたのは、本社は神戸市にありながら、同企業会に参加したダイテック。小型ジャイロミル型風車の動翼に弾性体を用いる仕組みで、新しい風力発電システムの開発に取り組んでいる。翼の形状を連続的に変化させる(モーフィング翼)ことで、弱風時の発電効率を向上させながら強風時も発電を継続させる仕組みは小形風力技術のブレークスルーを期待させるものだ。

同社の中内社長によれば、大分県によるトライアル研究開発制度を利用して開発を進めているとのことであり、実環境での実証試験段階に進んでいる。

また、同県内などに立地した太陽光発電所由来の電力でエネルギーの地産地消を目指すのがデンケン及び新電力おおいた。佐伯市内では社会実験として電力消費の見える化や精度の高い見守りサービスなどを提供している。

デンケン/新電力おおいたをはじめ、会員企業がこぞって出展した大分県エネルギー産業企業会ブース

新電力自体が家庭内電力消費の見える化などHEMS連携サービスを行う例はまだ多くないが、新電力おおいたの場合は、デンケンが機器開発を担っている点が強みの一つだ。

一般家庭向けの電力小売りは昨年10月に開始したばかりだが、社会実験で提供しているサービスの商業展開を期待する声も多いとのことだった。

 

大崎電気工業

包括支援サービスPQMOが話題を呼んだ大崎電気工業のブース

デマンドマネジメントサービスを拡張し、エネルギー分野を超えて、施設設備の維持・保全などまで支援する「PQMO」サービスを中心に展示した大崎電気工業。

エネルギー利用効率化のためには空調などの適切な制御は当然だが、突き詰めていくと業務状況などと密接不可分な領域に足を踏み入れることになる。業務の見直しに手を付けるなら、統合化したマネジメントに取り込むところまで徹底するという発想といえる。

もともと、電力量計をはじめ、各種ハードウエアのメーカーであるだけに、毛色の変わった出展ともいえるが、マネジメントのスタートラインは計測による現状把握にある。「はかるでエナジーソリューション」と謳ったブースは、やはり同社ならではのものと言えた。

 

AGCグラスプロダクツ

「アトッチ」の名称を前面に出したAGCグラスプロダクツのブース

後付け工事で遮熱性能、断熱性能の高い複層ガラスを実現する「アトッチ」シリーズを幅広く展示したAGCグラスプロダクツのブース。

ビルの省エネを考えた場合、弱点となるのがガラス窓。複層ガラスへの交換はコストがかさむだけでなく、場合によっては工事中建物が使用できなかったり、足場が必要だったりと大ごとになりがちだ。

アトッチは既存のガラス窓に簡単に追加施工できる足場不要なソリューション。店舗用には一階向けに限られるが、外側からの施工により営業しながらの取り付けが可能なワイルドアトッチや、映像を表示できるスクリーンタイプも展示。多くの来場者で賑わっていた。

 

Sassor

来場者の関心を集めたSassorのブース

技術先導型のベンチャーである同社。これまでも手掛けていた、AIによる電力消費量データ分析に、ガス利用データを統合し、精度よく幅広いエネルギー利用状況の推定を提供する。

電力会社やガス会社がサービス内容をクロスオーバーさせていく中で、ディスアグリゲーションサービスも、電力とガスから推定できる情報を有機的に連携させれば、新たなサービスの可能性が生まれる。

機器などの製品とは異なり、ブースで目をひく展示を行うには難しい題材だが、同社ブースを訪問する参加者は多かった。

ENEXでは出展者がセミナーで発表を行う機会が多い。同社もセミナーに登壇しており、集客のきっかけとなったのかも知れない。

 

デンマーク王国大使館

熱利用を中心にデンマークのエネルギー産業を紹介した大使館ブース

地域熱供給をはじめ、バイオマス等再生可能エネルギーの熱利用における先進地であるデンマーク。ブースでも熱利用及び熱供給関連の機器、設備を中心に紹介していた。

中でも興味深かったのは、ブリケット(人工薪)製造装置の展示。薪とは言うが、樹皮や農業系廃棄物なども原料となる。加工後の形状は、太い円柱や四角柱からペレット代替まで幅広い。用途も産業用、家庭用に加え、農業用がラインナップされているのは、デンマークならではと言える。

一方で、日本国内での需要開拓には、熱供給体制の不備がネック。鶏と卵の議論になりがちだが、打開のためには、成功事例を見てもらうことが一番であるとして、デンマーク国内視察案内についても展開していたのが特徴的だった。

 

⦅アワードコーナー⦆

各企業の展示とは別に、表彰事例・製品を展示したアワードコーナー

平成28年度の省エネ大賞、新エネ大賞、さらに(一社)日本機械工業連合会による優秀省エネルギー機器表彰の受賞案件を紹介したアワードコーナー。受賞者ごとに小間を用意し、受賞対象となった最新技術や製品、事例などについてパネルなどで紹介していた。
授賞式典での紹介は案件名のみであり、具体的な取組内容はこれら展示やプレゼンテーションに委ねられたかたちだ。

給湯省エネNo.1を謳うリンナイのエコワン

特に、省エネ大賞製品部門や優秀省エネルギー機器など、製品系の受賞では、大阪ガスほかのエネファームタイプS(家庭用固体酸化物形燃料電池コージェネレーションシステム)や、リンナイのエコワン(家庭用ハイブリッド給湯・暖房システム)など受賞製品の実機展示もあり、関心の高い参加者が詰めかけていた。

付属するセミナースペースでは、受賞各社による対象事業や製品のプレゼンテーションを実施。小さなステージとはいえ、開発担当者などによる現場感覚あふれるプレゼンテーションにより、発想の発端や取り組みの経緯を紹介していた。

エネファームタイプS。発電効率52%を達成したSOFCだ

アピールポイントをわかりやすくまとめたパネル展示とは違い、手作り感のある発表は、開発の苦労などリアリティを感じさせるもの。そこから更なる省エネ努力へのきっかけをつかむべく、熱心に聞き入る来場者の姿が目立った。

 

⦅平成28年度新エネ大賞授賞式⦆

ENEXの開催に合わせて、同じ東京ビッグサイトにて平成28年度・新エネ大賞の表彰式が執り行われた。主催は(一財)新エネルギー財団(会長=中村薫氏)。

受賞者と関係者一同。今回は8件が受賞した

新エネルギーにかかわる機器の開発に加え、設備などの導入および普及啓発などまで幅広くターゲットにして、優れた取組を表彰する同賞。1996年度を初回に、これまでのべ196件の案件が表彰されてきた。

「新エネ大賞」審査委員会委員長を務めた、内山洋司・筑波大学名誉教授は今回の総評として、「このところ募集案件のうち6、7割が太陽光発電にまつわるものだったが、徐々に多様化しつつある」と述べた。今回は8件が受賞したが、バイオマス、エネマネ、小水力、水素など、バリエーションに富む分野から選出されているのが分かる。

経済産業大臣賞を受賞したのは、IHI新日鐵住金による「国内微粉炭火力におけるバイオマス混焼拡大への先進的な取り組み」だ。従来、実用化されている施設ではバイオマス資源の混合率は3%程度とのこと。本事業ではそれを25%に、なおかつ既設設備の軽微な変更によって達成した点が評価された。

審査委員長特別賞を受賞したのもバイオマス分野からだ。ホリ(北海道砂川市)/BDF(東京都墨田区)/ヤンマーエネルギーシステムによる「『北海道開拓おかき』製造工場からの廃食油を利用したバイオマス発電機の導入」がその対象だ。北菓楼(砂川市)が製造する、地元の食材を多く使った銘菓「北海道開拓おかき」。このおかきの製造工程で発生する廃食油を、夾雑物や水分除去の過程で化学反応による処理を行わず直接燃料として利用するシステムを採用。シンプルなシステム構成で今後の普及に期待できる点が評価された。

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