連載「100%自然エネルギー地域をゆく⑯」世界自然エネルギー100%プラットフォームの設立(下)

(上)より続く】

「世界自然エネルギー100%プラットフォーム」キックオフイベント ~地域エネによるボトムアップの重要性

イベントは以下の4部の構成で進行しました。第1部「世界的な100%自然エネルギーへの取り組み」、第2部「100%自然エネルギーを目指す都市と地域」、第3部「コミュニティ・パワーの重要性」、第4部「100%自然エネルギーへの世界的な戦略」です。

第1部では世界的な100%自然エネルギーに向けた動きや期待が報告されました。本プラットフォームの大使になっている国際環境NGOである350.orgのビル・マッキベンからのビデオメッセージで始まり、すでに世界の100%自然エネルギーシナリオとして〝Energy[R]evolution〟を発表している国際環境NGOグリーンピースや、アメリカ最大の環境NGOシエラクラブ、そして自然エネルギーで世界をリードするドイツ連邦環境局(UBA)のハリー・リーマン氏から100%自然エネルギー実現に向けたロードマップが示されました。

また、カナダのヨーク大学のホセ・エチェベリ教授からは人材育成としての教育の重要性が指摘されています。

第2部では、すでに都市と地域の取り組みを支援しているイクレイ(持続可能性をめざす自治体協議会)のアナ・マルクからは、都市を対象とする具体的なネットワーク化の取り組み*3が紹介されました。

続いてこれまでの世界キャンペーンの実績を踏まえた新たな実践ツールとしてWFCのアンナ・ライトライターからは「100%自然エネルギー・ビルディングブロック」*4の発表があり、より具体的な10のアプローチを積み上げることで、全ての投資を100%自然エネルギーの実現に向けることができます。

分散型かつ地域の人々を中心とするアプローチで社会をより早く変革するように、政策立案者や政府関係者による政策の実現を促したり、そのために100%自然エネルギーという目標を持ってコミュニティのエネルギーシステムを変革しようとする事例も紹介しています。すでにエネルギー需要の1,000%の自然エネルギーを生み出しているドイツのダルデスハイム村の事例が実践者であるバルテルト氏から報告されました*5

第3部では、100%自然エネルギーを実現するうえで、地域主体のボトムアップの取り組みとしてコミュニティパワー(ご当地エネルギー)が重要であることが、日本、アフリカ、オーストラリア、ドイツの事例を通してそれぞれ紹介されました。日本からは環境エネルギー政策研究所(ISEP)の飯田所長が世界と日本の現状と「ご当地エネルギー」の重要性と、設立団体にもなっている全国ご当地エネルギー協会メンバーの取り組みが紹介されました。

アフリカからは、福島で昨年開催された第1回に続き第2回の世界ご当地エネルギー会議の開催国となっているマリのフォルケセンターのイブラヒム・トゴラからアフリカでのエネルギーアクセスにおける自然エネルギーの重要性が示されました。

第4部では、100%自然エネルギーに向けた世界的な戦略を考えるとして、冒頭に福島第一原発事故時の総理大臣であった菅直人氏のビデオメッセージから始まり、ドイツのエネルギー転換の先頭を走る研究機関フラウンホーファー太陽エネルギー研究所ISEや、米国の脱石炭戦略で成果を上げているシエラクラブ、国連における世界的なエネルギーアクセスへの取り組みなどが紹介され、先進国だけではなく発展途上国を含む全ての国が100%自然エネルギーに向けた目標や戦略を定める必要があることが確認されました。

最後にイベントに出席した設立団体による署名式と総会が行われ、プラットフォームが正式に設立され、その活動がスタートしました。今後、100%自然エネルギー実現化のためのツールの開発と普及に取り組み、国際的なイベントを開催するなど、設立団体により様々な取り組みが世界的なネットワークの下でますます行われていくことが期待されます。

(松原弘直=認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)理事・主席研究員)

*3ICLEI “100% Renewable Energy Cities & Regions Network” http://www.iclei.org/

*4Global 100% RE Platform “100% RE Building Blocks” http://go100re.net/

*5Dardesheim(ドイツ)の100%RE事例 http://www.go100re.net/properties/dardesheim/

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