エネルギーと環境考える「エコプロ」いよいよ開幕(下)出展ブースピックアップ
- 2017/11/27
- 特集
- 新エネルギー新聞2017年(平成29年)11月27日付

【(上)から続く】
[画像・上:昨年の「エコプロ」より]
リコー
<小間番号:5-034>

脱炭素社会の実現を目指すリコーのブース
リコーは「脱炭素社会の実現」に向けて、オフィスや工場を含めた「まち」全体のエネルギー利用と創エネ・蓄エネを最適化するための、エネルギーマネジメントシステムの構想を紹介する。この構想はグループ全体でエコソリューション・ビジネスとして取り組むもので、システムには現在実証実験を進めている木質バイオマスによる熱エネルギーの利活用やマイクロ水力発電といった、再エネ分野のビジネスも含まれている。
リコーは、国際社会で合意された持続可能な開発目標(SDGs)とパリ協定、そして自らの経営理念を踏まえて、5つの重要社会課題と新環境目標を設定しており、事業を通じた脱炭素社会、循環型社会の実現を宣言している。
他にブースでは、循環型社会に関する取組として、リコーグループが実践するリユース・リサイクルの取組や、使用済みトナーカートリッジから油をとりだす実証実験、2016年発売の複合機から採用している繰り返し利用できる再生プラスチック、複合機用新循環型エコ包装等について展示する。また生物多様性対する取組として、グローバルに実施している森林生態系保全プロジェクトを紹介する。
JXTGエネルギー
<小間番号:1-902(水素活用社会)>

Dr.Driveセルフ潮見公園店の水素ステーション
総合エネルギー企業を目指すJXTGエネルギーは、水素活用社会に向けた取組を紹介する。既に国内40カ所で水素ステーションを開所している同社。日本最大のサービスステーション網を活用し、水素供給インフラを整備することで、水素社会の実現に貢献するのが同社の構想だ。
展示されるのは実際に使用されているものと同じ水素ディスペンサーと、運営中の水素ステーション「Dr. Driveセルフ潮見公園店」のジオラマ。また全国のENEOS水素ステーションを一覧できる地図と、生産から販売までのサプライチェーンの図解パネルを展示する。
水素ステーションの設置には、様々な安全対策が必須だ。貯蔵や充填時に水素を漏らさない対策はもちろん、漏れた場合に備えて何重にも対策が講じられている。安全なステーションを全国へ多数展開し、水素供給サービスを実施できるのは、約1万3,000カ所のサービスステーションを展開するJXTGエネルギーだからこそだ。
燃料電池車(FCV)や水素ステーションというと、普及は遥か先のような気がするが、実のところそれは目の前に迫っている。水素ディスペンサーを使った水素の模擬充填体験もできるので、FCV購入を検討している人はもちろん、エネルギーに関心のある人は訪れてみてほしい。
積水化学工業
<小間番号:4-023(ビジネスマッチングEXPO)>

「70」のビッグロゴがひときわ目を引く
70周年を迎えた積水化学工業。ブースのテーマは「Open the Future ~未来をひらく」。これまで提供してきた技術の変遷を振り返るとともに、持続可能な未来に寄与する製品・技術を出展する。自然環境に留まらず、社会環境への貢献も目指すのが積水化学の取組だ。
「暮らしの安全性と災害耐性強化」コーナーでは、同社の環境関連技術の集大成であるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス「スマートパワーステーション “100% Edition”」や、「フィルム型リチウムイオン電池」、「熱可塑CFRP製止水板」などの製品、車両の安全性を高める材料技術などを出展。「社会インフラの強靭化と普及促進」コーナーでは、国内各地で老朽化する橋梁やトンネルなど社会インフラのリノベーションに活用できる「インフラガード」シリーズのサンプルを展示する。また、「健康寿命の延長」コーナーでは介護・自立支援設備「wells」や、生物多様性に配慮した樹脂製畳などを紹介する。
積水化学はSDGsで示された課題や、自社が事業を通じて解決すべきとする社会課題に対して効果を発揮する製品を、売上高比率で60%以上にすることを目標としている。積水化学のサステナブルな未来をひらく製品に注目だ。
IHI
<小間番号:2-039>

ブースでは若い世代にもエネルギーをアピール
エネルギー・資源の領域でも、高度な技術を擁するIHI。化石エネルギーから再生可能エネルギーまで、多様なエネルギー源をバランスよく使用するための技術開発を進めている。今回の展示では、環境に配慮しながらエネルギーを安定供給するための製品や技術を、同社になじみのない来場者や小中学生に対して、さまざまな展示手法で紹介する。
会場では、世界初100kW級海流発電の実証実験に成功した「水中浮遊式海流発電システム」の発電原理について、水槽を用いてわかりやすく解説する。また、同社が豊富な実績を有するCO2排出抑制に繋がる超々臨界圧ボイラの模型も、会場にて展示される。
他にも、ガスタービンや、排水からバイオガスを取り出すICリアクターといった環境負荷低減製品の模型や、発電の原理、LNGタンクの保冷技術などを体験しながら理解できるコーナーなど、盛りだくさんの内容だ。
天然ガスからバイオマス、省エネから蓄エネまで多種多様な製品で活用されるIHIの技術は、エネルギーについて学ぶ教材の宝庫だ。ステージではエネルギーについてのクイズ大会も開催される。ぜひブースを訪れて、同社の技術に接してほしい。
東亜グラウト工業
<小間番号:4-019(ビジネスマッチングEXPO)>

ヒートライナー工法による道路融雪
地盤改良・斜面防災・管路メンテナンスなどを手掛ける東亜グラウト工業。展示は管路に関するもので、下水熱回収システム「ヒートライナー工法」と、パイプを氷で洗浄する「アイスピグ管内洗浄工法」を紹介する。

アイスピグ管内洗浄工法で使うシャーベット
ヒートライナー工法は、下水道管の更生時などに管底部に熱交換マットを敷き、その上からFRP製の更生管を通すことで、下水熱を回収する仕組み。下水は新たに内側に引かれた更生管を通るので、マットは直接触れない。マット内のチューブを通る不凍液から熱を回収し、冷暖房や給湯に利用できる。同社の強みは直径900mm以下の中小口径の管路からも採熱が可能なことと、更生管が薄く熱伝導性が高いことだ。ヒートポンプなしで道路融雪できるという実績もあり、未利用エネルギーの活用法として期待されている。
アイスピグ管内洗浄工法は水と塩のシャーベットでパイプを洗浄する工法だ。半固体なので老朽管でも損傷のリスクが低く、最終的に融けるので詰まりもない。シャーベットと砕氷を組み合わせたものを流すことで、濃縮汚泥にも高い効果を発揮する。洗浄により管路インフラの長寿命化や、ポンプの圧送電力の削減など省エネにも繋がる。
三菱電機
<小間番号:2-041>

「わが家からはじまるエコライフ、三菱電機のエコチェンジ」がテーマ
三菱電機がブースで提案するのは「生活者にとって無理のない快適なエコライフ」。省エネというと電化製品等の利用を控えるようなイメージがあるが、肝心なのはエネルギーを効率よく使うことで、我慢を繰り返していては持続できない。同社のスマートハウスソリューション「ENEDIA」は、「実質消費エネルギーゼロの家」を中心に、HEMSでオール電化の省エネ家電を管理してエネルギーを有効活用し、無理なくエコライフを過ごそうというものだ。
三菱電機の「実質消費エネルギーゼロの家」には住宅用太陽光発電システムと、EV用パワーコンディショナが活用されている。エコキュートに接続でき、余剰電力はFITで売電することも、EVに蓄電することも、エコキュートで蓄熱することもできるという無駄のないシステムだ。消費電力の少ないオール電化と組み合わせることで、省エネと快適さを両立する暮らしができる。また非常時のEVとPVからの給電は最大6kWの供給が可能で、災害などに伴う停電時でも安心して電気を使用できるのも特長だ。
ブースでは「ENEDIA」に加えて最新のエコ家電や、同社のプラスチックリサイクル事業の紹介、またインドネシアでのバイク用冷蔵庫試作実験や、人口衛星についてなど、同社の多種多様な先端技術・製品についても展示される。