≪【特別インタビュー】三菱総合研究所主任研究員・長谷川功氏≫分散型を核とする新たなエネルギーシステムとそのキーデバイスとしての蓄エネ・ストレージ

第5次エネルギー基本計画では、再エネの主力電源化に資するものとして、蓄電・水素などエネルギー貯蔵の重要性が言及されている。「エネルギー貯蔵技術は、再エネを普及させるために必要なデバイス」と語る三菱総合研究所環境・エネルギー事業本部エネルギーシステム戦略グループ主任研究員の長谷川功氏に、蓄電地を中心としたエネルギー貯蔵について、国内の動向と今後の展望を訊いた。

[画像・上:三菱総合研究所環境・エネルギー事業本部
エネルギーシステム戦略グループ主任研究員 長谷川功氏]

―エネルギー貯蔵デバイスということでは、まず蓄電池が挙げられます

蓄電池の国内市場は、直近では2019年問題の卒FIT案件によるニーズ、また災害対策としてのニーズもあり、少しずつ導入が拡大していくと見込まれます。蓄電池は設置場所によって3つに区分できます。①発電所併設、②系統用、③需要家用です。2019年問題は③需要家用のニーズで、屋根置きPVの自家消費向けが短期的には大きな市場を形成しますが、コストが下がらなければ爆発的な普及は起こらないでしょう。

経産省が想定する太陽光+蓄電池による自家消費型エネルギー供給形態の変遷イメージ(経産省資料より一部改編)

―長期的な蓄電池市場の見通しとしては

PVなどの再エネは変動するエネルギーです。系統接続時に平準化するために、発電所併設の蓄電池ニーズが短期的には顕在化すると予想しています。ただ、発電所併設は個別サイトでの最適化ですので、いくつかの再エネが接続した先の系統側で蓄電池を導入し、効率的に変動を抑える全体最適の形での蓄電池市場にシフトするでしょう。もっとも、系統の安定のために設備投資がかさめば託送料などの値上げに繋がりますので、最終的には買電ではなくPVと蓄電池で自家消費する需要家用のニーズ、個別最適に戻ってくる流れになると考えています。

―コストが下がればということですが、日本は蓄電池が海外と比べ高いという声があります

確かにエンドユーザー価格は高いといわれますが、ドイツなどと比較してもそれほど差はありませんし、海外で低価格の蓄電池といえばテスラがありますが、ビジネスモデルが異なると考えます。

日本は商流が複雑で、メーカーから一次卸・二次卸さらに地場の工務店などを経てエンドユーザーに届きます。メーカーの卸価格は海外勢と変わりませんが、中間マージンの分、価格は上がります。メーカーとしても地域の販売チャネルを持っていない、在庫リスクを抱えなくて済むなど現状機能しているので、変更しにくいのが実情でしょう。

テスラはウェブサイトを見る限り自社ブランドを生かし直販しており、受注生産のため在庫リスクも抱えていないと考えます。また中国・韓国は政策の後押しもあり、競争力のある価格にできる背景があります。

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