≪特集「太陽光パネルのリユース・リサイクル」≫⓪太陽光「主力電源化」の一環としての廃棄パネル適切処理
- 2020/5/26
- 特集
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)05月25日付

太陽光発電設備は、2012年から始まった再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)により、大幅な導入がなされた。
[画像・上:太陽光パネルの年間排出量予測(経産省資料より)]
導入初期段階の設備が既に使用済となりつつあり、排出が始まっている。また、リプレイスや故障、自然災害による被災により、本来の寿命を待たずに廃棄される太陽光パネルの排出量も増加している。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の調査によれば、2036年に約17万~28万トンほどのパネルが廃棄されると予測されている。
環境省はこうした背景を受け、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」の第二版を、一昨年末に公表した。太陽光パネルに含まれる鉛・セレンなどの有害物質対応、管理型処分場における埋立処分方法の明確化、被災した太陽光発電設備の取扱いに関して、第一版からの見直しが行われた。
モジュールに含まれる有害物質に関する情報提供については、太陽光発電協会(JPEA)は総務省などの勧告を踏まえ、「使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン」を公開した。このガイドラインに沿って、太陽光パネルメーカー31社が情報提供している。

また、経産省は昨年11月、太陽光発電設備の廃棄費用を積み立てる制度についての中間整理を策定した。10kW以上の全ての太陽光発電認定事業者が、買取期間終了前の10年間で、積立金を源泉徴収的に外部の運用機関に託す外部積立を行うことを原則とする。2022年7月までの適切な時期に、制度開始となる。
再生可能エネルギーの主力電源化、特に健全な太陽光発電の普及促進の観点から、使用済太陽電池モジュールの適切な処理、リサイクルが求められている。前述した行政や業界団体によるガイドライン、法整備に準拠し、適正処理が可能な産業廃棄物処理事業者について、JPEAが一覧を紹介している。新たなリサイクル技術の開発によるコストダウンや再資源化されるガラスの用途開発など、取り組む課題も多い。