- Home
- エネルギーマネジメント
- ERABガイドライン改定 「アグリゲーターによるDR」前提に
ERABガイドライン改定 「アグリゲーターによるDR」前提に
- 2020/6/25
- エネルギーマネジメント
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)06月08日付
Energy Resource Aggregation Business
経済産業省は6月1日、分散型エネルギーリソースを束ねて供給力や調整力として活用する事業の普及拡大に向けて、「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するガイドライン」(ERABガイドライン)を改定したことを発表した。
ERABガイドラインは、デマンドレスポンス(DR)により生じた電力量を電力会社が調達し、その対価を支払う取引であるネガワット取引に際してERAB関係者が参考とするべき基本的指針(制御された電力量の評価方法など)を示している。2015年7月に策定されて以降、改定が複数回行われてきた。
現在経産省内で、ERABを実際にビジネスとして本格的に展開していく際に想定される諸課題(サイバーセキュリティ対策など)の整理と対策を検討する産学官の実務者レベルの会合「ERAB検討会」が設置されている(2016年1月より)。そしてERAB検討会の下部組織である制御量評価ワーキンググループ(WG、2017年6月設置)では、ネガワット事業者が需要家の分散型エネルギーリソースを遠隔で制御することによって生じた電力量を評価する方法などを検討してきていた。
今般、ネガワット取引の拡大や需給調整市場・容量市場などの各市場における要件検討の進捗などを踏まえ、本ERABガイドラインそのものの位置づけや取引対系の細分化などについてガイドラインの改定を行った。
ガイドラインの位置づけに関しては、ガイドラインを基本原則とするべきERABの主体としてアグリゲーターを明記した。今後の電力ビジネスのキーとして認識されていながら、これまでは電気事業法の立ち位置が不明確だったアグリゲーターだが、現在開催されている国会で議論されている電事法改正案ではその位置が明確化されている。今回のガイドライン改定では小売電気事業者とアグリゲーターとの間の情報共有の在り方についても、共有する情報や共有のタイミングなどが付記されている。
ネガワット取引の際に発生するkWhに対する支払いが発生する場合のネガワット調整金(需要家に電力を供給していた小売電気事業者とネガワット事業者=アグリゲーターとの間でDRによって生じた費用と便益の不一致を調整するための費用)の計算方法も明示された。この場合のネガワット取引とは、小売電気事業者が計画値同時同量を達成するために活用するDRと一般送配電事業者が需給調整するために活用するDRのいずれも指す。
さらに標準ベースラインの当日調整対象時間についても、全ての類型において「DR実施時間の5時間前から2時間前まで30分単位の6コマ」に統一するとされた。