浮体式洋上風力発電機器の米ベンチャーに出資【東京ガス】安定性に優れるセミサブ式を開発
- 2020/6/29
- 風力
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)06月22日付
東京ガスは今般、洋上風力発電用の浮体基礎システムを開発・保有する北米のスタートアップ企業、プリンシパル・パワー社(PP社)に出資参画した。出資額は20億円超とされており、東京ガスはPP社の主要株主の一つとなった。
[画像・上:ウインドフロート技術を活用した浮体式洋上風力発電機の事例(提供:東京ガス/プリンシパル・パワー)]
PP社の浮体基礎はウインドフロート技術と呼ばれるセミサブ式の浮体構造だ。正式名称を「セミサブマーシブル式」Semi-Submersibleというセミサブ式浮体構造は、元は石油掘削用のリグ(プラットフォーム)や石油・ガス生産設備などに用いられている技術であり、部分的に海面に沈み込んでいる半潜水式の浮体構造物を指す。
掘削の現場では、トラス構造(三角形を基本にした構造)やラーメン構造(四角形を基本にした構造)を持つ構造物の上に、リグや生産設備などを搭載して使用される。ここに風車を搭載し浮体式洋上風力発電機とする。
構造的な安定性に加えて、動バラスト制御(構造を中空構造にして軽量化しつつ、その中に水を満たし、気象環境に合わせて水量を調節・制御する方法)による安定化を図っているので、浮体基礎の動揺による風車の発電量・耐久性への影響を軽減する効果もある。
PP社は既にセミサブ式浮体構造の採用実績を持つ。欧州だとポルトガル沖の2MW実証試験で5年間の運転、また同じくポルトガル沖で8.5MW×3基の商用案件も建設中だ。
東京ガスは2019年12月に発表した中期経営計画で、2030年までに国内外で取り扱う再エネ事業の規模を合計500万kWにまで拡大する方針を示した。再エネ発電事業としては太陽光発電の他、袖ケ浦風力(2005年10月竣工、1,990kW)の運営、庄内風力発電有限会社(現:庄内風力発電株式会社)への事業参画(2014年11月)、くろしお風力が関東地方に所有する銚子高田町風力発電所(2006年運開、1,990kW×1基)および椎柴風力発電所(2009年運開、1,990kW×5基)で発電する電力を計約1万2,000kW購入開始(2015年4月)などの取り組みを展開している。