《【特集】下水道展’25大阪》スコープ:「上下水道太陽光」の現在地

2030年度27万kW導入目標達成のために現状の3倍の整備必要

[画像・上:愛知県・菱池遊水地でのパシフィックコンサルタンツによる太陽光発電システム設置のイメージ]

日本の上下水道事業は、年間電力消費量が約150億kWと日本全体の電力消費量の約1.5%を占める。約5,000カ所の浄水場と約2,200カ所の下水処理場があり、現状では、上下水道施設に設置された太陽光発電の発電量(FIT売電、場所貸し含む)は合計1億0,800万kWhとなる。2030年度の目標達成のためには、太陽光発電26万7,000kWの追加導入が必要となる。

上下水道事業での太陽光発電の特長は、施設の敷地面積が広く発電できる規模が比較的大きい、365日24時間稼働しているため発電した電力の消費率が高い、行政が運営しているので倒産リスクが少ないなどの点が挙げられる。

全国の上下水道事業における太陽光発電導入量の推移と導入目標(資料:環境省)

こうした特長から、太陽光発電設備導入では「第三者所有」が増えている。環境省によれば4月18日現在、全国41カ所の上下水道施設において、第三者所有モデル(PPAなど)での導入事例がある。

2030年度まで設置可能な建築物(敷地含む)の約50%以上に太陽光発電設備を設置するという政府目標に向け、オンサイトでの設置促進に加え、水路上部や覆蓋などを新たな設置ポテンシャルと捉えた設置の実証(水インフラにおける脱炭素化推進事業のうち「水インフラの空間ポテンシャル活用型再エネ技術実証事業」)も始まった。

パシフィックコンサルタンツ(東京都千代田区)が行っている「遊水地堤防法面等における太陽光発電設置実証実験」(実証年度:令和6~7年度)では、ペロブスカイトなどの薄膜太陽光発電パネルを埋め込んだ法面ブロック(太陽光発電ブロック)などを設置し発電が行われている。堤防機能を維持しつつ、太陽光発電を行うものであり、適用性が認められれば、水インフラ空間での再エネ普及に大きなインパクトを与えると期待されている。

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