下水汚泥焼却灰から肥料用のリンを回収【西松建設/新潟大学】高効率の技術を共同開発
- 2020/4/17
- バイオマス
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)03月23日付

西松建設は、新潟大学工学部金煕濬教授と共同で、下水汚泥焼却灰から肥料に利用できるリンを高効率で回収する技術を開発した。
[画像・上:同技術のリン循環型社会における役割(提供:西松建設)]
酸とアルカリの二段階溶出を行うことによりカドミウムやヒ素などの重金属を除去し、直接肥料として利用できる形態のリンを効率的に回収する。また、リン回収後に残る残渣からも重金属が除去されるため、残渣を建設資材原料やセメント原料などへ資源化できる。
日本には天然のリン資源がなく、国内利用のほぼすべてを海外からの輸入に依存している。一方で国内の下水処理場で発生する下水汚泥焼却灰には、リン鉱石と同等の濃度でリン成分が含まれている。
この潜在的なリン資源を回収できれば、リンの国内自給化が可能になるが、従来のリン回収技術は低い採算性(低回収率、残渣処分費)や、残渣の重金属含有の問題があった。
今回、両者は従来技術より高い回収率(98%以上)で下水汚泥焼却灰からリンを回収でき、採算性向上を図れる高効率リン回収技術を共同で開発した。
また、回収過程で重金属等を除去できるため、回収したリンの多くはそのまま肥料として利用でき、リン循環型社会の構築に貢献できる。新潟大学における圃場実験では、回収リンで施肥をおこない、市販のリン肥料と比較した結果、同等の効果が確認されている。
西松建設は今後、技術の実用化に向けてスケールアップした実証実験を実施し、実用技術としての完成を目指す。また、下水汚泥灰の有効活用によるリン循環型社会構築に資する技術の一つとして、自治体など関係機関に技術提案をしていく意向だ。

