連載「100%自然エネルギー地域をゆく82」世界の風力発電市場の最新動向 ~安定成長を続ける世界と日本の課題
- 2020/4/17
- コラム
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)03月23日付
欧州や米国でも堅調な風力発電市場
風力発電の累積導入量が世界第二位の米国では約9GWが1年間に新規導入され、2019年末には累積の設備容量が105GWと100GWの大台に達しました*3。米国では2012年に年間導入量が13GWを超えましたが、優遇税制の停止により2013年には年間1GWまで市場が縮小しました。
その後、回復して2015年以降は堅調な市場になっています。全米41州で風力発電がすでに導入されており、最も導入が進んでいるテキサス州では2019年の1年間で約4GWが導入されました。米国では大手企業などが自然エネルギーの電気を調達する契約(PPA:Power Purchase Agreement)が盛んに結ばれており、2019年には約9GW分の契約が結ばれています。風力発電は米国内の総発電量の2%以上を占めるまでになっています。

一方、ヨーロッパ全体では1年間で約15GWの風力発電が新規に導入され、累積設備容量が205GWに達しました*4。このうち洋上風力は約22GWで、新規に約4GWが導入されています。EU28カ国の累積設備容量は192GWで、その発電量は全電力需要の約15%に達しています。図2に示すように国別の累積導入量ではドイツが61GW(洋上は約7GW)となり、2019年の電力需要量の約21%に達し、太陽光と合わせた変動する自然エネルギー(VRE)の割合では28.6%に達しています(自然エネルギー全体の発電量で約40%)*5。
ドイツでは2019年には石炭(褐炭を含む)による発電量の割合が変動する自然エネルギー(VRE)とほぼ同じ約28%にまで減少しています。英国では欧州最大の2.4GWを新規に導入し、そのうち1.8GWが洋上風力です。スペインも陸上風力では欧州最大となる2.3GWを新規に導入しています。原発大国のフランスでも風力発電の導入が進んでおり、累積で17GWに達し、スペインの26GW、英国の24GWに次ぐ累積導入量です。石炭火力に大きく依存しているポーランドでも累積で約6GWの風力が導入されています。デンマークでは人口一人当たり、面積あたりの風力発電の導入量が世界トップになっており、2019年には年間電力需要の約48%を風力発電でカバーしています。

