新エネルギー財団「導入促進に向けた提言」まとまる④地域新エネルギー

スマートコミュニティに「レジリエンス」と「国際競争力」の視点を付与し地域の市民生活目線で再定義するために

④地域新エネルギー ◆地域エネルギー委員会:委員長=中村慎・竹中工務店 環境エンジニアリング本部 エネルギーソリューション企画グループ長

(一財)新エネルギー財団が発表した、令和元年度(2019年度)の再エネ・分散型電源に関する「新エネルギーの導入に関する提言」。提言は、産学で構成される財団内の新エネルギー産業会議(議長:牛山泉・足利大学理事長)で取りまとめられた。既に経済産業省資源エネルギー庁に提出されている。

産業会議には分野ごとに委員会が設けられており、提言もそれぞれの委員会別にまとめられている。紙面ではそのポイントを紹介してきた。前回までの風力・太陽光・廃棄物発電に続き、今回は「地域新エネルギー」の提言を考える。

地域エネルギーに関する提言は、地域経済の活性化と新エネルギー拡大の両立を目指して、これまで3回策定されてきた。今回は昨今のトレンドを取り入れ、「災害に強い新エネ推進」と「国際競争力を持つ新エネ推進」という新たな視点を盛り込んだ提言を行った。

本委員会は、地域に新エネを導入する検討にあたっては「スマートコミュニティ構築」を念頭に置いてきた。実際、これまで国内各地でスマートコミュニティ構築実証事業が走ってきたが、それらはあくまで「サプライヤー中心の技術実証」であった。これからは次の段階を目指すために、地域の市民生活目線で捉え直したスマートコミュニティの実現のために、新エネルギーに期待される脱炭素やレジリエンス機能が提言の第一とされている。

この中で、地域活性化のための再開発プロジェクトにおいて、地域に対する新エネルギーの有効性やサステナブルな事業性などを評価し、優良なプロジェクトに支援を行うべきとされている。

第二の提言は「災害に強く、脱炭素化を目指した地産地消のエネルギーインフラ構築の推進」。経済産業省が現在検討している、再エネ託送料金の近距離割引制度導入に関しては、「ネットワークコストの観点だけではなく、地域のレジリエンスに配慮した制度設計」を要望している。

そして第三の提言では、自治体やエネルギー事業者から飛び越えた展開を求めている。「災害の多い我が国は災害対策の先進国であり、地震、強風、水害などの備えはこれから世界に売っていけるパッケージの1つ」として、デジタル化による市民中心のスマートシティ構築の優良事例に福島県会津若松市を例示している。会津若松市では、東日本大震災からの復興に合せて市民が活用できるオープンパーソナル・ビッグデータプラットフォームを提供し、エネルギー・観光・予防医療・高度人材育成・テレワークなどの分野で課題解決に取り組んでいる。

本提言の全文(各分野)は以下の新エネルギー財団のWebサイトからダウンロードすることができる。https://www.nef.or.jp/introduction/teigen/te_r01.html
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新エネルギー財団は令和2年度「新エネ大賞」の募集を開始した。今回は「商品・サービス部門」・「導入活動部門(普及啓発活動を含む)」に加えて「分散型新エネルギー先進モデル部門」と「地域共生部門」が新設された。

募集は2020年7月31日(金)まで。詳細は以下HPを参照。https://www.nef.or.jp/award/boshu/boshu_r02.html

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