岐阜県高山市で5MW地熱発電事業化決定【東芝ES/シーエナジー】ダブル・フラッシュ方式採用で効率的に発電へ

東芝エネルギーシステムズ(ES)と、中部電力グループで省エネのコンサルやESCO事業を展開しているシーエナジー(名古屋市東区)は、共同出資して設立した中尾地熱発電(2013年11月設立、出資比率:東芝ES55%・シーエナジー45%)が岐阜県高山市奥飛騨温泉郷中尾地区において「(仮称)中尾地熱発電所」を建設することを決定したことを発表した。

[画像・上:「(仮称)中尾地熱発電所」付近の生産井噴出状況(提供:東芝エネルギーシステムズ)]

高山市は全国の市町村自治体の中で最大となる2,177㎢(2,191㎢である東京都全体とほぼ同じ)もの面積を持つ。森林・清流・温泉などの恵まれた自然環境も存在し、その豊かな資源賦存量を有効活用する一環として、未利用木材・間伐材を燃料とする木質バイオマス、出力1,000kW程度の小水力発電、出力100kW未満の風力発電などの導入が市によって検討されてきた。この中で余剰温泉水を活用した温泉熱バイナリー発電も検討された。

その高山市にある奥飛騨温泉の中尾地区は、源泉の蒸気量が豊富かつ高温であり、地熱発電に適している。その様な地での地熱発電事業に関して中尾地熱発電は、地熱資源調査や周辺環境の調査、地熱発電の事業性評価などを行ってきた結果、事業化の目処が立った。

発電の方法として地熱流体の高圧蒸気で直接タービンを回転させるフラッシュ方式、さらにそのフラッシュ方式の中でも高圧蒸気に加えて噴出する熱水を減圧沸騰させた低圧蒸気でもタービンを回すダブル・フラッシュ方式を採用する。

ダブル・フラッシュ方式の構造イメージ(提供:東芝エネルギーシステムズ)

ダブル・フラッシュ方式はシングル・フラッシュ方式より20%ほど効率が高くなる。高温地熱流体を持つ大規模地熱発電所で用いられることが多いが、本発電所の設備容量は1,998kWで、ダブル・フラッシュ方式を採用する発電所としては世界最小規模になる予定。また中部地区初のフラッシュ方式を採用する発電所にもなる予定だ。FIT制度を活用して、発電した全量を中部電力パワーグリッドへ売電する。

発電所の建設は2020年9月より開始予定。運転開始は2021年度下半期を予定する。噴出した熱水は地熱発電に活用すると共に地元の温泉事業者である有限会社中尾温泉へ配湯する計画で、温泉事業と地熱発電事業の共存共栄に配慮する。

東芝ESは地熱発電システムで世界トップシェアであり、約3.7GWの地熱発電用タービン・発電機を世界で納入(2019年6月時点)している。また中部電力はグループも含めて太陽光・風力・水力・バイオマスなどの再エネ発電事業を展開している。そんな両社にとって「(仮称)中尾地熱発電所」は、初の地熱発電事業になる。

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