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トヨタ自動車とNTTがスマートシティ開発で業務資本提携
- 2020/4/6
- エネルギーマネジメント
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)04月06日付

▼NTT:通信に分散型エネも交えた開発視野
▼トヨタ:CASE実現のためDX要素伸長目指し
トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)は、スマートシティを共同開発するために業務資本提携する。3月24日に両社の取締役会において提携に関する合意書を締結することを議決し、同日締結した。
[画像・上:会見で握手する、トヨタ自動車代表取締役社長・豊田章男氏(左)とNTT代表取締役社長・澤田純氏(提供:トヨタ自動車)]
両社はこれまでもコネクティッドカー分野での協業を2017年3月に公表した合意に基づき展開してきたが、更に協力関係を構築する。
協業の資金調達として約2,000億円を相互に出資する。トヨタは、NTTが実施する第三者割当による自己株式の処分によりNTTの普通株式8,077万5,400株(発行済株式総数に対する所有割合は約2.07%、総額約2,000億円)を取得する。NTTは、トヨタが実施する第三者割当による自己株式の処分によりトヨタの普通株式2,973万0,900株(発行済株式総数に対する所有割合は約0.90%、総額約2,000億円)を取得する。両社の株式取得日は今年4月9日が予定されている。
共同開発においては、コミュニティにおけるデータマネジメントや情報流通などのハブである「スマートシティプラットフォーム」を、AIやToT技術を取り入れた形で構築することが主眼になる。そして本プラットフォームにつながる都市の社会基盤には、同事業でスマートエネルギーと呼ばれるICTを活用したエネルギー効率向上、地球温暖化対策再エネ技術活用、レジリエンス向上、地域エネルギーの最適な需給マネジメントなどが含まれる。
開発は、2020年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本(トヨタの100%子会社で東日本における自動車製造開発会社)の東富士工場(静岡県裾野町)の跡地を利用するスマートシティ実証実験フィールド「Woven City」(ウーブン・シティ)で行われる。開発構築するスマートシティプラットフォームは先行ケースとしてウーブン・シティと、JR品川駅前のNTT街区の一部である東京都港区品川エリアに実装。その後に連鎖的に他都市への展開を図っていく。また、2社に加えた共同開発企業を今後も募っていく方針だ。

スマートシティの基盤技術開発の事業資金としては異例の、民間企業2社による2,000億円の相互出資。金額の大きさは、開発に掛ける両社の期待の大きさを物語っている。3月24日には両企業のトップが出席した会見も開催された。
トヨタの代表取締役社長、豊田章男氏は「現在、自動車産業はCASE(コネクティッド・自動化・シェア/サービス化・電動化)革命のさなかにあり、自動車そのものの概念が変化している。CASEにより自動車は単なるモビリティから社会システムの構成員となり、果たす役割が変わってきている。災害停電時に電動車から給電することにより電源として活用されるなども新たな役割の一つ」と指摘。「社会や国を豊かにするとの気概を持ち、未来を創造する技術力と人間力を持った民間企業が決起することが今こそ大切」と協業の意義を強調した。
NTTの代表取締役社長、澤田純氏は「世界国と地域のパラコンシステントがスマートシティ。この理念はSociety5.0にもつながる」と発言。「スマートシティの構成要素としては全光ネットワーク・デジタルツイン/コグニティブ無線・データマネジメント、そして再エネがある。再エネには直流グリッドも含まれ、そこにグリーン電力・VPP・バックアップ/レジリエンスといった要素がかみ合ったエネルギー地産地消を実現する。我々は昨年、エネルギーマネジメント事業を行うNTTスマイルエナジーや小売事業を行うエネットを子会社に持つNTTアノードエナジーを設立し、スマートエネルギーソリューションの開発を推進している」と述べ、協業への意気込みを語った。