ソーラーシェアリング用・アレイ式新架台発表【千葉エコ・エネルギー/クリーンエナジージャパン】大型農機利用や傾斜地設置も可能に
- 2020/4/16
- 太陽光
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)04月06日付

ソーラーシェアリングのコンサルタント業に加えて自らも営農を行っている千葉エコ・エネルギー(千葉市稲毛区)と、太陽光パネル設置用の架台の設計製造を行うクリーンエナジージャパン(横浜市中区)は、汎用性を高めた新たなソーラーシェアリング用の架台を発表した。
[画像・上:開発されたソーラーシェアリング用新架台のイメージ図]
これまでのソーラーシェアリングの架台は、台状の櫓を敷地一面に組んだ上にパネルを敷設する「藤棚式」と呼ばれる形状が一般的だった。藤棚式は架台の構造強度や農地への遮光の面で合理的な形状である反面、設計の自由度が狭まり、大規模農地での設置が非効率、かつ傾斜地に設置できないなどのデメリットが存在する。また営農においても、搬入できる農業機械のサイズに制約が出てしまう。
今般発表された新たな架台は、野立ての太陽光発電所で一般的な形状である、杭基礎を持つアレイ式の架台に似た形状を持つ。異なる点は、支柱の高さが2.8mもあることだ。なお農林水産省の規定では農地からパネルまでの高さは2m以上確保することが求められている。規定以上の支柱の長さを持つことで農作業時の農機の取り回しに余裕ができる。
この長い支柱2本にパネル4枚を搭載(横幅4m)して1ユニットとする。支柱の高さとユニットの横幅は、発電事業者の要望によって設計段階で変更も可能だ。そしてユニットを複数並べて発電所とする、柔軟な架台設置ができる設定にしている。この仕様によって、傾斜地にある果樹園や牧草地にも設置が可能になった。藤棚式では存在していた、農業機械の入ることができないデッドスペースを無くす配置も可能だ。

太陽光発電の野立ての発電設備は、電気事業法に則り策定された「設計ガイドライン」の規定に合致していなければならない。ガイドラインは昨年7月に改訂されて、中でも傾斜地での設置にはより厳格な規定が設定された。一方で農水省の規定では、通常の農地にすぐに復元できるように支柱は簡易な構造であることが求められている。新たな架台は、これら相反するように見える2つの規定を満たす最適な設計が施された。一般的な野立ての架台に近い構造となったことで、資材や施工のコスト低減への貢献も期待されている。
企画の出発点においてこの新たな架台は、大型農機の利用や広範な農薬散布、GPSを活用した農機の自動運転など、大規模農地での導入を念頭に置いていた。しかし実際の反響では、狭隘地かつ傾斜地などの小規模農地での引き合いも複数あったとのことだ。

