防爆機器の試験所認定業務開始【NITE】水素ST関連などの機器の各国防爆性能認証をワンストップで・国内で

(独法)製品評価技術基盤機構(NITE)は、防爆機器の試験所の認定制度を新たに構築した。

[画像・上:防爆機器に関する海外認証手続きのこれまでと今後のイメージ(提供:製品評価技術基盤機構)]

爆発性の気体が発生する可能性のある製造所・貯蔵所・取扱所において使用されている機器は、爆発性の気体と着火源となる部位を触れさせないように設計された部品・器具・配電盤などの器具である、防爆機器を用いている。防爆機器が使用されている代表例は、石油・化学プラントやガソリンスタンドをはじめ、水素関連でも水素ステーション(ST)の各種構成機器や燃料電池施設などがあげられる。

防爆の性能は産業保安の観点から重要であり、その保全のために日本を含め各国で法制度化されている。国際的な取り組みとしても、日本をはじめ米国・中国・ドイツ・英国・フランス・豪州など世界35カ国が加盟(2020年3月現在)する「IECEx」(防爆機器規格適合試験制度)が存在する。

IECExはIEC(国際電気標準会議)の下で運用されている認証システムで、加盟国には他国の認証機関が提出した試験報告書の受け入れを求めている。しかし、国ごとの法制度の違いなどによって不可避に生じてしまう、各国が独自で定める基準とIECExが定める基準との差異によって、防爆機器メーカーが海外進出を図る際に追加試験を求められる場合があった。

こうした多重試験は、企業の実務上で負担となり、海外展開上の障害として問題になっている。問題解決のために、関係各国の認証機関は相互協力協定を締結している。国内の認証機関が海外の認証機関と2者間の相互協力協定を締結することで、海外進出を検討するメーカーが当該の海外の相手国認証機関に対して行う申請を国内認証機関が代行することが可能になる。相手国の法令などに基づく独自の要求がある場合でも、協定に基づいて国内の認証機関内の試験所で対応することができるようになる。

相互協力協定の締結にあたっては、認証機関内の試験所に対してISO/IEC17025(試験所・校正機関の能力に関する一般要求事項を定めた国際規格)の認定取得が要件化されている。今般NITEがこのISO/IEC17025の認定制度を構築したことで、国内の認証機関が相互協力協定を海外の認証機関との間で締結する体制が整った。

海外進出を図る防爆機器メーカーは、NITEによりISO/IEC17025の認証を受け、かつ海外の認証機関と相互協力協定を締結している国内の認証機関において、日本と当該相手国の防爆機器規格の適合試験を受け、認証を取得することができる。相手国が複数でかつ相手国の独自の要求が複数に渡る場合は、その都度その項目を試験する必要があるが、国内の認定機関においてワンストップで各国の認証を取得できる利便性向上によりメーカーの海外進出がより容易になり、さらなる国際競争力アップが期待される。NITEの本認定業務は3月25日から開始されている。

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