洋上風力発電施設の基礎工法「サクションバケット基礎工法」低コスト化目指し日立造船と東洋建設が技術実証

日立造船東洋建設は3月18日、着床式洋上施設の低コスト化を実現する「サクションバケット基礎工法」の技術実証に取り組むと発表した。

[画像・上:サクションバケットのメガニズム(提供:日立造船)]

サクションバケット基礎工法は、海底に杭を打ち込む従来の方式とは異なり、円筒形の構造物(サクションバケット)の内部を排水することで静水圧以下の状態にし、海底面下に貫入する手法。

サクションバケット設備断面(提供:日立造船)

設置時に杭を打設するための大型重機が不要。また、構造物の鋼材を軽量化できるため、コストダウンが可能だ。洋上風力発電施設の基礎としては欧州で実績があり、国内でも防波堤などで適用実績がある。

同技術実証は、欧州とは条件の異なる国内の洋上風力発電施設への適用性を検証する。また、10MW級以上の風車の普及に備え、大型風車にも対応できる基礎形式・施工技術についても開発する。

2020年度は、東洋建設鳴尾研究所(兵庫県西宮市)で約10分の1縮尺モデルを用いて土槽試験を行い、構造物と地盤の挙動および沈設・撤去の施工性を確認する。

大型風車への適用案(提供:日立造船)

また、京都大学防災研究所(京都府宇治市)で遠心力場試験を実施する。両試験の数値解析の結果を踏まえ、実海域試験の検討および同試験で使用するサクションバケット基礎を設計・製作する。

2021年度は、実海域での貫入と引き抜き試験を行い、構造物と地盤の連成挙動を評価する。2022年度は、大型風車対応の検証を実施し、公的機関による技術認証を取得する。

同実証は、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)の風力発電等技術研究開発(洋上風力発電等技術研究開発)「洋上風力発電低コスト施工技術開発(施工技術実証)」の助成を受け、実施される。

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