《【特集】太陽光発電所のケーブル盗難対策》盗難された「モノの値段」以上の大きな被害になり得る発電所盗難を防ぐ
- 2024/8/26
- 特集
- 新エネルギー新聞2024年(令和6年)08月26日付
近年、太陽光発電システムでのケーブル盗難事故が全国的に多発している。ケーブル盗難は、事業者にとっての損失だけではなく、近隣住民の防犯に対する懸念や再エネ電力の供給停止など、エネルギーの安定供給や地域の安心・安全の面でも無視できない問題だ。
[画像・上:1号柱の配線が盗難に遭いやすい]
警察庁によると、太陽光発電施設における金属ケーブル窃盗の認知件数は、令和5年(2023年)が年間で5,361件だった一方、令和6年(2024年)は6月末時点の半年余りで4,161件となり、昨年を大幅に上回るペースとなっている。
金属ケーブル窃盗の発生は関東(東京を除く)に集中しており、全体に占める関東の割合は、令和5年が91.8%(4,922件)、令和6年6月末が89.8%(3,737件)となる。一方、中部地方における被害も、令和6年6月末で293件と増加している。
急増の背景には、近年の世界的な銅の価格高騰がある。(一社)日本電線工業会が発表した国内銅建値(月平均)推移(出所:JX金属)によると、令和2年5月に1kg当たり604円が、令和6年5月には同1,643円となり2.7倍の値となった。また、もう一つの要因として、太陽光発電施設が人目に付かない山間部などに設置されていることも挙げられる。
改正FIT法(再エネ特措法)で、太陽光発電所にフェンス・施錠・看板の設置が義務化された。しかし、被害に遭った施設では、改正FIT法に沿った運営をしており、ガイドライン記載の対策だけでは不十分なことが窺える。
これまでの被害では、特に夜間、人が近づきにくい設置環境で、中規模から大規模の発電設備に多く見受けられる。太陽光発電協会は、発電事業者に対して、防犯対策の強化と保守運営の再点検などの対応を促し、注意喚起を図っている。事業者にとっての抜本的な対応が難しいなか、近隣との治安協力・地域共生の推進や、定期見回りなどで効果を上げているケースもある。
今回、「太陽光発電所のケーブル盗難対策」として、実績および効果が期待できる製品・ソリューションを紹介する。