【セミナーレポート】メッセ・デュッセルドルフ・ジャパン「欧州蓄エネセミナー」 ~「電源の柔軟性」実現目指す蓄エネ

メッセ・デュッセルドルフ・ジャパン新エネルギー新聞(新農林社)は、9月26日、エネルギー貯蔵業界のトレンドを解説する「欧州蓄エネセミナー」を開催した。同セミナーは、11月に行われる「エネルギー・ストレージ・サミット・ジャパン(ESSJ)」の、プレ・イベント。ESSJ当日にも登壇するブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス日本代表のイザディ博士も講演を行い、国際的な蓄エネ事情について解説した。

[画像・上:会場の様子]

◆「自家消費からネガワットへ」のさらなる展開

セミナーはまず、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスのアナリスト、清水愛子氏が日本国内の蓄エネ市場の分析と展望を説明した。

ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの清水愛子氏

清水氏によれば、家庭用の蓄電池の市場は大きくなる。理由は主に3つで、1つ目はFIT価格の変化に伴う自家消費への移行、2つ目は「屋根貸し」太陽光と組み合わせた蓄電池の普及と蓄電池価格の低下、3つ目は新電力が太陽光と蓄電池を合わせた料金メニューを拡充させていること。

大型蓄電池も、系統管理用にメガソーラーや風力発電所に併設されるようになれば、市場は拡大。2020年以降に調整力市場が開設され、再エネ併設の大型蓄電池が調整力に組み込まれれば、さらによい影響を与えるだろう、とした。

続いて同日本代表のイザディ博士が、蓄エネの国際動向を語った。

ブルームバーグのイザディ博士

再エネ分野で蓄電池は調整力として利用されている。欧米では調整力市場が完全な市場メカニズムで動いており、VPPなど新しいビジネスを生み出している。

現在、日本でも調整力市場の設立が検討されているが、家庭用蓄電池から逆潮流できないなど、市場が成熟していない。加えて、日本は系統の管理を電力会社所有の送配電事業会社が行っている。調整力市場のうち、周波数調整などは、ピークデマンド時の1%と市場規模が非常に小さい。日本でも長期契約での入札が始まっているが、調整に使用できる発電所は十分に存在するため、取引市場を設けても、うまくルール作りをしないと機能しないだろう、との考えを示した。

◆EVの可能性

また、EVと屋根貸し太陽光・家庭用蓄電池を組み合わせて、交通と家庭のエネルギーニーズに「サービス」を提供し、長期契約を結ぶビジネスモデルが注目され、他業種が次々と参入して投資が行われているという。このようなモノからコトを売るビジネスモデルが、日本にも波及するだろうと語った。

ドイツ・エネルギー貯蔵協会理事シュテゥツィンガー教授

最後にドイツ・エネルギー貯蔵協会理事シュテゥツィンガー教授より、ドイツの蓄エネの最新事情が伝えられた。シュテゥツィンガー教授によれば、ドイツで家庭用蓄電池は8万世帯に普及しており、2020年には20万世帯に拡大すると予想されている。産業用としては、工場等で環境負荷低減のために自家消費目的の蓄電池導入が進んでいるとのこと。

EVについては、新たに急速充電装置が開発され、200kWhを4~8分で充電できるようになっている。今後はスーパーマーケットで買い物中にEVに充電ができるようなサービスが開発され、普及していくのはないかと見通しを語った。

シュテゥツィンガー教授は、ほかにも電力銀行など蓄エネの最新トピックに触れ、講演の最後に「みなさんとぜひ意見交換させていただきたい。でも、意見交換にはドイツまで行く必要はありません。11月のESSJにはドイツ・エネルギー貯蔵協会の専務理事であり、ストレージの第一人者であるウィンデレン氏が参加しますので、みなさんもぜひご来場ください」と話し、会場は拍手に包まれた。

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