≪インタビューシリーズ:脱炭素経営に歩み出した日本企業「三井不動産」≫2030年度までに国内全施設ZEB/ZEH化+メガソーラー事業5倍へ拡大、2050年度に脱炭素化 表明

―メガソーラーを新規開発で、年間発電量3.8億kWh以上に拡大します

不動産業は比較的電化率が高く、いかに再エネ電源を所有するかが脱炭素化のカギを握ると捉えています。高層建築物は太陽光発電を設置できるスペースが狭いので、オフサイトで自社電源を確保しなくてはなりません。メガソーラーはFIT売電の5カ所を所有しており知見があります。5MWクラスのメガソーラーが30基ほど必要になりますが、粘り強く開発していくしかありません。荒廃農地への設置要件など、規制緩和が進むことに期待しています。

運営する「三井不動産山陽小野田太陽光発電所」

全国のメガソーラーから自社施設への電力供給としては、自己託送を検討しています。福井と鹿児島ではFITによる洋上風力発電事業にも参画しており、将来的には卒FITの自己電源として自己託送を利用する構想もあります。インバランスやコストなど課題は山積みですが、挑戦しなければ2030年までの目標に届きません。技術のある企業などと提携して、多様な手段でオフサイト電源を開拓したい。

―街づくりではGCSを活用しています

当社の日本橋・豊洲・八重洲エリアの施設では、GCSによる電熱の面的供給を実施または予定しています。複数建物を結ぶ自営の配管・配線を敷設し、エネルギー源としてガスと電力の供給網を併用することで、エリア全体での高いエネルギー効率とBCP対応力を誇ります。

電気とガスの双方が街を支えています。ガスのグリーン化も推進していくべきです。現状で国内の再エネ電力の比率は約2割。政府はこれを2030年までに約4割に引き上げようとしているわけです。ガスのグリーン化もいついつまでにまず5%からなど、2050年に向けて長期的な視点が必要です。メタネーションなどの先端技術に注目していますし、当社としても共同研究などで協力していくつもりです。

―ICP(社内炭素価格制度)を導入するとも発表されています

ICPも定量化の一環です。ビル・商業・ホテル・物流倉庫・住宅など各事業における排出量も、例えば非化石証書などの価格で費用に換算できます。仮に完全に非化石証書やクレジットによって脱炭素化しなくてはならなくなった場合、財務会計への影響を図る意味合いもあります。

先ほど建築時のCO2について触れましたが、定量化により鉄・コンクリートなどの構造体が建築時のCO2排出のほとんどを占めるとわかりました。このように定量化することで、電気以外の課題も非常に多いことも見えてきます。

当社としてはまず建築物運用時のCO2削減に全力で取り組み、できるだけ効率化して余剰のエネルギーを生み出し、ガス、熱、構造体など電化が難しい部門にエネルギーを渡すことで長期的な取り組みを支援し、日本の産業サプライチェーン全体が協力しあって2050年カーボンニュートラルを実現することが重要だと考えています。

※法定耐用年数×戸あたり年間CO2排出量(環境省数値)

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