≪特集「太陽光パネル廃棄」来たるべき実像≫廃棄費用外部積立て制度概要

太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度が7月からスタートする。4月に施行された改正再エネ特措法(再エネ促進法)で義務化され、10kW以上の全ての太陽光発電のFIT認定案件が対象。調達期間/交付期間の終了前10年間で、最も早い事業の積立てが開始する。

[画像・上:廃棄等費用として積み立てる積立金の額(資料:経産省)]

積立制度の必要性

太陽光発電設備の廃棄処理の責任は、太陽光発電事業者等にある。FIT制度では、廃棄等費用を想定した上で調達価格を算定してきたが、実際に積立を実施した事業者は2割以下だった。また、有害物質(鉛、セレンなど)を含む太陽光パネルが、発電事業終了後に、放置・不法投棄されるのでは、との地域の懸念も顕在化している。こうした背景により、積立制度の必要性が高まった。

積立制度の概要

原則として、毎月の買取費用から積立金相当が差し引かれ、買取義務者を経由して電力広域的運営推進機関(OCCTO)に積み立てられる源泉徴収的な外部積立となる。積立金額は、FIT調達価格/FIP基準価格の算定において想定されている廃棄等費用となり、調達価格が1kWh当たり40円の場合の廃棄費用は1kWh当たり1.62円となる。

積立金の取戻し条件

取戻し条件は、廃棄処理が確実に見込まれる資料の提出などが必要となり、調達期間中/調達期間終了後のいずれかで、事業を終了/縮小などのフェイズごとに取戻し可能額が定められている。期間中/終了後にかかわらず発電事業を終了する場合および終了後にFIT制度当初の太陽光パネルをすべて交換する場合は、取戻し時点において積み立てられた解体などの積立金の全額が戻される。

保険加入の努力義務

近年増加している災害などにより、積立開始前の廃棄処理や事業途中での修繕をする場合は、制度上の取戻しはできない。各太陽光発電事業者による独自の積立てや保険への加入により手当されることになる。資源エネルギー庁の事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)に、火災保険・地震保険などへの加入が努力義務として明示された。しかしながら、特に低圧を中心に、保険に加入していない事業者が一定程度存在するのが現状となっている。

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