≪特集「『2050年脱炭素』とバイオマス」≫農水省、バイオマス活用推進基本計画改定へ 問われる「2050年脱炭素」との連携具体化

脱炭素からバックキャストできない現状

国が脱炭素の方針を明確にしたこと、また2030年・2050年と年限を切ったことを受けて、各省庁はその実現に向けて自治体や企業、市民と共に具体的な取り組みを始める段階に入りつつある。だが、第3次基本計画における目標は、「平仄を合わせた」ものの脱炭素という最終目標への紐づけが分かりずらく、脱炭素目標との円滑でシームレスな連携にはなっていない。その根本的な原因は、2050年脱炭素からバックキャストした具体的な方針と農山漁村の在るべき姿を、農水省が詰め切れていない現実にある。特に、脱炭素実現にあたって「主力」のソリューションの一つとなる再エネに関して、農林水産分野へのバイオマス含む再エネ導入に関する定量的な導入目標が、まだ示されていないのだ。

第3次バイオマス活⽤推進基本計画の全体像イメージ(資料:農水省)

野中副大臣は冒頭挨拶で、バイオマスなどの地域資源を活用し環境負荷低減を図ることを盛り込み農水省が2021年5月に策定した「みどりの食料システム戦略」にも触れ、基本計画との相乗効果に言及している。みどりの食料システム戦略には、「2030年までに目指す姿と取組方向」として、「2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、農林漁業の健全な発展に資する形で、我が国の再生可能エネルギーの導入拡大に歩調を合わせた、農山漁村における再生可能エネルギーの導入を目指す」ことを前提に目標を設定するとしている。農水省はこの農山漁村への再エネ導入目標について、専門家会合で議論をまとめた後、2023年度に策定する。

バイオマスの利⽤率に関する国が達成すべき⽬標(資料:農水省)

森林も含めると日本の国土の約8割は農林水産分野に含まれる。その再エネ導入目標は、地域の街づくり・国の再エネ適地想定などにも大きな影響を及ぼす。そもそも植物の光合成による炭素固定の営為を扱う農業や林業は、脱炭素や炭素利活用で重要かつ優位な立場にいるとも言える。農林水産分野以外にもポジティブな効果・相乗効果をもたらし、かつ実効性を持った農山漁村再エネ導入目標を、脱炭素を見据えて打ち出すことができるか。今がまさに最後のチャンスだ。

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