自営線+自己託送で再エネ全量を自家消費する面的活用スタート【リソル生命の森/東電EP/東電HD】ネットワークのコスト削減と信頼性確保に貢献

自営線と自己託送を組み合わせたネットワークを導入し、エネルギーを面的に活用する再エネの自家消費・地産地消が、千葉県長柄町で始まった。

[画像・上:「リソルの森」で運営されている電力ネットワーク(提供:リソルホールディングス)]

舞台となるのは、同町にあるゴルフ場や入浴施設などの複合施設である「Sport&Do Resortリソルの森」。運営会社であるリソル生命の森は、太陽光発電などの再エネ事業を展開するリソル再生エネルギー(リソル生命の森と同じく持ち株会社のリソルホールディングスのグループ会社)、および東京電力ホールディングス(HD)、一般電気・ガス小売事業者の東京電力エナジーパートナー(EP)と共に、本事業の実施にあたって(一社)低炭素投資促進機構(GIO)の「地域の特性を活かしたエネルギーの地産地消促進事業」に採択されている。

リソルの森は総面積約330万平方m(東京ドーム約70個ぶん)の広大な敷地を持つ。ここにトリナ・ソーラー製のパネル3,288枚を敷設した設備容量1,200kW・交流容量1,000kWの太陽光発電設備を設置し、敷地内にあるメディカルトレーニングセンター(MTC)と、真名カントリークラブ 真名コースと真名ゲーリー・プレーヤーコースの2つのゴルフ場クラブハウスに電力を供給する。

ユニークなのは、広大な敷地内でお互いに離れて存在するこれらの施設の電力負荷に対する太陽光からの電力供給に、自営線と既存の配電線を併用している点だ。総延長約1.3kmの自営線は今回新設されて、太陽光由来の電力をMTCに供給。MTCでこの再エネ電力を最大限自家消費するが、それでも電力供給がMTCでの負荷を上回る場合は自己託送を用いて配電線に逆潮させてゴルフ場へ供給する。

既存配電線のこの柔軟な活用は、「プレミアムグリッド」の名称で東電HDが商品化している。元は、災害停電時などに上位系統から切り離し、需要家側・配電網側が独立して非常用電源などの分散型エネルギーを使うことで電力供給を継続するための仕組みだ。本件では「郊外型プレミアムグリッド」と名付けられ、空き容量不足による系統接続問題や自家消費用自営線のコストの問題などを同時解決することが念頭に置かれている。

「リソルの森」のエネルギーフロー(提供:リソルホールディングス)

発電した電力の全量を自家消費する地産地消を実現する「地消」側でも、新設と既存の施設を効率的に組み合わせる。特に熱電のエネルギーストレージとしての機能を前面に押しだしている点が特徴的だ。給湯負荷に対応するためのヒートポンプ給湯器を稼働させることによる「蓄熱」では、MTCに既に設置されているヒートポンプ給湯器などに加えて、ゴルフ場に貯湯槽6立方m×2セットを自己託送再エネ電気の蓄熱用として新設した。そして「蓄電」機能としては、自営線上の定置式蓄電池(100kWh)に加えて、利用客の送迎用として導入した電気自動車(EV)や電動カートにも充電。電力が必要な際は、V2H(Vehicle to Home)で給電する(V2Hは補助事業対象外)。

自家消費に加えて系統経由でも使用する電力に、熱や交通という要素も合せて一体的に制御するために、専用のエネルギーマネジメントシステム(EMS)も導入した。気象条件などにより変動する太陽光の発電量、蓄電池の充電量、来客数などにより変動する電力負荷などを統合的に予測。発電電力・既充電電力より負荷が大きい場合は系統からの買電を増やす。逆に小さい場合、つまり発電電力供給が電力需要を上回った場合は、蓄電・ヒートポンプ稼働・ゴルフ場への逆潮・自己託送などにより需要増の制御(上げデマンドレスポンス)を実施する。

これら一連の制御により電力のインバランス調整を実現し、同時同量の自己託送を実現する。上位系統への影響も軽減し、ひいては発電の出力制御も減らすことができる。この制御システムは、東京電力のグループ会社で電気機器メーカーの東光高岳(東京都江東区)が開発した。機械学習も導入されており、今後の運用を通じて需給予測の高度化も期待できる。

再エネの自家消費を最大限行うこのエネルギー面的活用により、リソルの森では導入前と比較して量にして年間343kℓ、率にして33.5%の省エネ・効率化を見込む。新規導入される機器設備を限定することでコスト面にも配慮した汎用性の高いパッケージであり、これまでは都市部が中心だったエネルギー面的活用に新たな可能性を拓く、郊外地域型非FIT型の地産地消を前提とした再エネの需給一体型モデルだ。リソルの森は将来的に太陽光発電設備の増強計画しており、さらなる自家消費拡大・地産地消拡大も視野に入れている。

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