洋上風力・五島市沖占用の公募指針固まる【経産省・国交省 合同会議(第5回)】撤去費用は資本費の5%を下限に

一般海域での洋上風力の導入拡大を目的とした再エネ海域利用法に基づき可能になる、海域の占用に向けた制度設計を話し合う実務作業部会が、経済産業省国土交通省の合同会議(座長=牛山泉・足利大学理事長/委員長=來生新・放送大学学長)として昨年から開催されている。昨年12月には同法に基づく海域である促進区域の第一号として長崎県の五島市沖が指定。今般、この五島市沖の促進区域を占用する事業者の公募指針に関する議論が、合同会議で行われた。一般海域占用の制度設計はいよいよ、民間企業の実務レベルの要素を詰める段階に入った。

[画像・上:長崎県五島市沖の促進区域の範囲(経産省/国交省資料を一部改編)]

再エネ海域利用法に基づく促進区域として指定された長崎県五島市沖。その公募占用指針に含まれる事項の内、洋上発電事業の事業外形などは経産省の調達価格等算定委員会で既に方向性が示されている。既定となっているのは、五島市沖は水深が深いことなどから浮体式の風力発電設備を用いること、区域の最大受電電力は2.1万kW(21MW)であること、調達価格(買取価格)は1kWhあたり36円+税であることなど、主に価格に関連する事項についてだ。

再エネ海域利用法に基づく手続きの流れ。現在、公募占用指針の作成のプロセスに到達した(資料:経産省/国交省)

利用法には他に、「基地港湾」公募審査の「評価基準」発電設備の「撤去」に関しても公募占用指針に含まれるように規定している。今般の第5回の合同会議ではこれらに関して話し合われた。

まず、風車のプレアッセンブルなどを行うために促進区域と一体的に利用される基地港湾に関しては、「占用公募制度運用指針に記載された要件を満たす港湾で促進区域に最も近い港湾」である五島列島の福江島にある福江港を、福江港内の埠頭としては大津埠頭(岸壁水深5.5m/利用可能面積2~3ha)を、それぞれ公募占用指針に記載するとされた。また建設スケジュールの実現性を確保する観点から、公募に先立ち港湾管理者に対して港湾施設の利用スケジュールを通知すること、騒音・土壌汚染などの低減・流出防止など港湾利用にあたって周辺環境に配慮するべき規定も盛り込まれることが提案された。

次に「評価基準」では、既に2020年度まで五島市沖における洋上風力発電の買取価格は36円と設定されているので価格による競争は実施せず、公募案件の事業実現性に関する要素の評価によって日本の法人格を有する事業者とその公募占用計画を120点満点で項目ごとに採点し選定することになる。

その事業実現性の中身には「将来的な価格低減や故障時の早期復旧などを考慮に入れたサプライチェーン形成」・「事業計画リスク分析の妥当性」などがあるが、中でも今回特に注目されたのが「陸上洋上風力発電事業の実施実績」だ。実績評価は①風車の設置、②海洋土木工事、③発電事業の運営(維持管理含む)の3項目に関して実施され、逆に①・②・③のうち1つでも実績がないと判断された場合は即、失格とするとの提案がされた。

長崎県五島市沖の促進区域と一体的に利用される基地港となる、福江港および大津埠頭の概要(資料:経産省/国交省)

そして合同会議の委員から最も多くの意見が表明されたのが「撤去」だ。洋上風力発電設備を撤去する際には原状回復することが原則とされた。本事業で用いられる浮体式の撤去で技術的なポイントとなる、アンカーやチェーンの撤去方法を安全性・経済性を軸に評価されるとの案だ。

撤去に関しては撤去費用を担保するため、第三者による保証が必須と提案。そのために、金融機関の保証状の差し入れか、倒産時にも隔離可能で撤去以外の目的の活用を制限できるエスクロー口座による積み立てなどが必要とした。

さらにその保証の額に関しては、過剰に低い撤去費用を計画書に盛り込む事業者を防止するために、現状のFIT制度において撤去費用として計上されている資本費の5%を下限とする案が示された。また保証の開始は洋上風力発電の運転開始日からとしている。

委員や事務局からは、先行する欧州でも洋上風力の撤去は実例がまだ少なく、価格水準が読みづらいことが指摘された。また、欧州の統一の撤去基準があるわけでもなく、結局は各地・各国の実情に沿って撤去しているという。

合同会議では大きな反対意見はなく、案は概ね了承された。公募占用指針案はパブリックコメントに掛けられ、その公示されて5月頃に実際の公募が始まる見込み。事業者の公募占用計画の提出は6カ月間受け付けられ、その後に2カ月間ほど事務局で審査、さらに3カ月ほど第三者委員会において評価を受け、晴れて事業者が選定される。

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