新エネルギー財団「導入促進に向けた提言」まとまる①風力
- 2020/5/7
- 政策
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)04月20日付

FIT抜本見直し・主力電源化を見据えた再エネ産業の在るべき姿と制度設計を提言
(一財)新エネルギー財団は3月、最新となる令和元年度(2019年度)の再エネ・分散型電源に関する「新エネルギーの導入に関する提言」を経済産業省資源エネルギー庁に提出した。
提言は、産学で構成される財団内の新エネルギー産業会議(議長:牛山泉・足利大学理事長)で取りまとめられた。
産業会議内には「風力発電システム」、「廃棄物発電システム」、「バイオマスエネルギーの利活用」、発電を中心にした「太陽エネルギーの普及促進」、「地域新エネルギーの普及促進」、「水力発電の開発促進」、「地熱エネルギーの開発・利用促進」の各分野で委員会が設けられ、それぞれ提言している。新エネルギーの導入拡大にあたっての根本的な課題から、最新の状況を踏まえた課題まで網羅し、それぞれを提言という形で整理している。
通常は3~4分野が隔年の交代で提言を行ってきたが、今回は7分野全てで提言が行われた。再エネの大きな変革期を読み解く提言の数々だ。
総勢79名で構成される新エネルギー産業会議は、各分野の第一線で事業・研究を行う産学のスペシャリスト揃い。そんな産業会議で議論され作成された今回の提言は、冊子にして各分野合計310ページにもおよんでおり、再エネ各電源にまつわるトピックをほぼ網羅している。紙面ではその中から内容を絞り込んで紹介する。なお提言の全文は以下の新エネルギー財団のWebサイトからダウンロードすることができる。
https://www.nef.or.jp/introduction/teigen/te_r01.html
①風力 ◆風力委員会:委員長=前田太佳夫・三重大学大学院教授
ポストFIT見据えたさらなる事業環境整備の必要性を強調
[画像・上:【イメージ】横浜市風力発電所「ハマウィング」]
各電源別の提言の最初は風力発電に関する提言だ。風力に関する提言は、「事業環境整備」、「系統制約克服」、「経済性向上」の大きな3つの章からなる構成を持つ。第5次エネルギー基本計画で「主力電源」となることが明記された再エネの中で、経済性と信頼性を具備する電源としての役割を風力が果たすために求められる事業環境整備制度設計が主眼だ。再エネ海域利用法の施行により国内でも洋上風力の事業形成が進んでいることもあり、ユーティリティサイズの再エネである風力に注がれる期待は大きい。そしてそれだからこそ、コインの表裏である主力電源=風力の社会的責任は重いと言える。
◆FIPの詳細設計と移行支援が必要◆
まず、「主力電源化」と「工事審査プロセス」の2つの節分けがされている①「風力発電の事業環境の整備に向けて」の章で念頭に置かれているのは、エネルギー行政で現在進められているFIT制度の抜本見直しだ。抜本見直しで風力はコスト競争力を高めて電力市場への統合を図るべき競争電源に分類され、FITにとって代わる支援制度として、欧州などで先行して導入されているFIP(Feed-in Premium)などの市場連動型の制度に移行することが前提とされている。
しかしながら、本提案では「FIP制度の詳細規定、効果や課題は、採用されている国毎に様々で、適切な再エネ導入比率と取引市場改革が求められる」として、「FIP制度の導入を目指すにあたっては、そのような各国によって違いがある事項について、どの国の詳細規定を参照するのか、あるいは独自のものを策定するのか、事前に十分な検討を慎重かつ丁寧に行う必要がある」と指摘している。
その上でFIP制度を導入するにあたっては、風力発電の事業安定化を確保しつつ「詳細規定」「関連制度」「経過措置」が十分に検討されるべきと提言。また、連動する市場価格が更新される30分毎に、プレミアムの額を決定する参照価格を更新し、実際の売電単価(市場価格+プレミアム)が短期的にも長期的にも変動しないようにするのが理想的とも提言している。参照価格の更新周期を敢えて長くする場合には必ず、平均的なプロファイルコストを算定し、平均的なバランシングコストとともに市場平均価格から差し引いたものを参照価格にするべきとした。

