新エネルギー財団「導入促進に向けた提言」まとまる①風力

◆事業環境整備と表裏で進めるべきコスト低減◆

次の章である②「風力発電の系統制約の克服に向けて」では、経済産業省が検討している次世代ネットワークの施策への返答となる形をとっている。次世代ネットワーク形成の基本的な理念とされる、将来の電源ポテンシャル、さらにはCO2削減効果を含めたコストベネフィット分析を基に実施する「プッシュ型」の系統整備を支持すると共に、長期的なネットワーク整備計画であるマスタープランでは、将来のエネルギー転換脱炭素化に向けた再エネ導入目標を設定し、それに沿って早期に整備に着手することを提言している。

20MW風力発電の各国発電コスト(資料:経産省)

またこれも経産省で議論されている、系統から求められる技術的要件=グリッドコードに関しても「早期検討を行い」、「系統全体で対応が必要な機能と、対象となる電源や容量要件を特定し、当該機能を保有使用する場合のインセンティブなども検討した上で、設置に必要な期間を取ること」を提言し、「電源側が、後から不利益を被ることが無いようにする」ことが望ましいとしている。出力制御に関しては、オンライン経由など経産省が示している制御の高度化の方針に沿うと共に、「軽負荷期の需要創出なども含めて、出力制御量の更なる低減につながる取り組みを進めることや、事業予見性を高める情報公開に関し、継続して検証改善を行うことが重要」としている。

さらに、地域間連系線の利用を前提に運用調達が2021年度以降順次開始される広域での需給調整市場に関しては、「再エネの利用拡大に向け市場運用開始後の検証と必要な改善が求められる」と提言している。

風力の最後の章である③「風力発電の経済性向上に向けて」では、足下で1kWhあたり15円前後と言われている風力発電の発電コストを低減させるための方策が述べられている。

発電コストを押し下げる観点、つまりkWhを増やすための風車性能の向上の必要性に加えて、発電コストを押し上げる要因の一つであるダウンタイムの削減の方策も述べられている。このうち故障停止時間の削減に向けて、故障予知やデータ収集、解析技術に関する技術開発が提案され、メンテナンス時間の削減に向けて、メンテ作業の優先付けや適切なスケジューリングなどの管理ツールの開発を提案している。また、生涯発電量をアップさせるために現在約20年の風車寿命を30年から35年ほどに伸ばす技術開発の提言もされている。

風力発電の設備は巨大建造物であり、その建設費も相対的に高額になる。その建設費削減に向けた設備の輸送裾付工法に関する技術開発の必要性が本提言で指摘された。また洋上風力においては、SEP船(自己昇降式作業船)などの数多くの作業船(フリート)が必要になる。これらのフリートの整備に関して支援が必要であり、また拠点港湾(基地港)の整備が必要なことも強調されている。

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