≪国交省「下水道リノベーション」計画≫新たに秋田湾・佐賀市を登録 エネルギーも軸に処理場を地域の拠点へ再生
- 2020/5/8
- バイオマス
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)04月20日付

国土交通省は3月、「下水道リノベーション計画」の新たな登録案件2件を発表した。下水汚泥を嫌気反応し得られる消化ガスを作るなど、「都市型バイオマス」を可能にする下水道施設を再エネで地域の拠点とすることを目指す。
[画像・上:秋田湾・雄物川流域下水道 秋田臨海処理センターの「リノベーション計画」概要(資料:国交省/秋田県)]
国交省は、人口減少が進む将来においても持続的に下水道事業を運営するために、処理場の統廃合や汚泥処理の集約化などによる施設管理の効率化を図ると共に、下水道が有する資源・エネルギーポテンシャルを活かした収入の多角化、地域雇用の創出、地域の憩いや賑わいの創出などを図ることで、下水道施設再生の取り組みを推進している。この取り組みに必要な整備を登録し、資金面での支援を行うのが本計画になる。
処理場を主な舞台とする下水道エネルギーの開発事業では、同じ国交省の「下水道革新的技術実証事業」(B-DASHプロジェクト)がある。新技術の研究開発や実用化を加速することで下水道事業における創エネ・省エネを推進することが目指されて、B-DASHは2011年度から実施されている。これまで、「下水バイオガス原料による水素創エネ技術の実証」(三菱化工機/福岡市/九州大学/豊田通商 共同研究体)、「廃熱利用型 低コスト下水汚泥固形燃料化技術実証事業」(JFEエンジニアリング)など、のべ30件ほどが実施されてきた。
対して下水道リノベーション計画は、下水道施設そのものの開発に焦点を当てている。その新技術開発として例示されているのは、下水処理場に避難者を受け入れるための地域の防災拠点化、下水処理場に地域バイオマスを受け入れて発電を行い地域に電力を供給するためのエネルギー拠点化、下水処理場の下水熱や再生水などを活用した農業生産拠点化による地域雇用創出、などだ。
下水道リノベーション計画の登録第一号は大阪府堺市の三宝水再生センターで、2019年3月に登録されている。1日あたり12万0,200立方mの処理能力を持つ三宝水再生センターの計画では、下水再生水を約2km離れた大型商業施設「イオンモール堺鉄砲町」に送水。再生水が持つ熱を給湯空調用の熱源として利用する。センター内に災害対策センターを設置することによる防災拠点化、処理水を利用したセンター内での約100種約1,600株のアジサイ栽培とその公開の継続により、三宝水再生センターの「魅力あふれる地域の拠点化」を目指す。

今般新たに下水道リノベーション計画に登録されたのは、秋田県の秋田湾・雄物川流域下水道秋田臨海処理センターと、佐賀市の下水浄化センター。まず秋田臨海処理センターでは、汚泥処理の際に発生する消化ガスを活用した発電、地域バイオマス集約、汚泥燃料化に加えて、秋田県内で近年導入が相次いでいる風力発電も組み合わせ、エネルギー自立化と地域供給および非常用電源活用を図る。下水由来堆肥であるコンポストの利用農場やコンポストを活用して栽培した農作物の普及促進も実施する。

同処理センターは日本海に面した県下最大の下水道終末処理場で、3市4町1村から排出される汚水を1日14万3,000立方m処理する。B-DASHの中で「超高効率固液分離」技術を開発しており、この新技術を組み込むことで今年度からは秋田市八橋下水道終末処理場の汚水の受け入れも開始する予定だ。

一方の佐賀市下水浄化センターの処理能力は、1日あたり約6万8,000立方m。地域密着型の施設として下水道資源を積極的に有効活用し、地域への還元を図る。
下水浄化センターを拠点に、屎尿処理場や食品工場からの地域バイオマスを集約し、エネルギー創出の過程で得られるCO2などから藻類を培養して商業用のバイオジェット燃料に活用する構想を持つ。この排出CO2は高付加価値農業への活用も検討されており、地元の保育園・幼稚園児による下水由来肥料を用いた農業体験なども通じて浄化センターを憩い・賑わいの拠点とする計画だ。

