長野県内の公営水力由来「信州産再エネ電力」販売拡充【長野県企業局/中部電力ミライズ/丸紅新電力/みんな電力】再エネの地産地消と広域販売の両方を展開
- 2020/5/12
- 地域
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)04月20日付

長野県企業局が運営する水力発電所で発電した電力が、よりアクセスしやすい形態で販売されることになった。それが、「信州の水でつくられた電力」の新たな販売事業「信州Greenでんき」プロジェクトだ。
[画像・上:公営水力発電所の一つである「高遠さくら発電所」(長野県HPより引用)]
飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈を合わせた日本アルプスに囲まれた長野県は、犀川・千曲川・木曽川・天竜川などの河川がもたらす水資源に恵まれている。そして治水の一環として水力発電所の整備にも取り組んできた歴史的経緯が存在する。
現在、長野県企業局の公営水力発電所は、一般水力・小水力合わせて17カ所・合計容量約10万kW(100MW)を誇る。「信州Greenでんき」プロジェクトはこれらの水力を電源として地産電気を販売する。
信州産再エネ電力を小売販売する事業者としてプロジェクトに加わるのが、中部電力ミライズ(4月1日の発送電分離により発足した中部電力の一般小売事業者)、丸紅新電力、みんな電力だ。中部電力ミライズは卸された信州産電力を原資として管内で展開。卒FITや環境価値などを活用した新たな電力取引サービス「これからデンキ」に利用する。また丸紅新電力は伊那市をはじめとした地産地消取引サービスに利用する。
丸紅と中部電力は伊那市と共同出資して自治体新電力「丸紅新電力」を2018年6月に設立している。今般、県の公営水力由来電力を取り入れることで、さらに高い地産地消率の実現を目指す。加えて、これまでも市内にあるオフィスのウォールアートイベントやGPS端末を活用した子供見守りサービス(実証事業)などとして展開してきた、地域課題の解決・活性化につながる地域密着型サービス開発にも取り組んでいく。
一方、みんな電力はブロックチェーンを活用し属性証明(トラッキング)することで県内外の電力消費者と発電地を結び、離隔地においても需要側・供給側双方が「顔の見える」形で信州産再エネ電力を全国に小売りする。みんな電力は高遠さくら発電所(伊那市、出力180kW)および奥裾花第2発電所(長野市、出力980kW)の2カ所の公営水力発電所で発電した再エネ電力を、東京都世田谷区の区立保育園40カ所に2017年4月から販売している実績を持つ。

顧客・利用者は、通常の電力料金と併せて環境価値などに相当する対価を支払うことで、CO2フリー電力や地産電力として利用することができる。RE100加盟企業に加えて、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度において、CO2フリー電力の購入量応分でCO2排出係数をゼロとして算定できる。プロジェクトを通して県が得た利益は、県内の新たな再エネ電源の開発やエネルギー効率向上、地域振興などに充てられることになっている。
長野県の17の公営水力発電所のうち、高遠発電所・横川蛇石発電所・奥裾花第2発電所・小渋第3発電所の4カ所はFIT制度を活用した売電を行っており、これら4カ所で発電されたFIT電気は特定卸供給で小売に卸される。FIT電気を活用した電力メニューでCO2フリー電力を実現するためには非化石価値証書(RE100準拠の場合はトラッキング付き非化石証書)の別途取得により、環境価値を取り戻す必要がある。FIT制度を活用しない13カ所の水力発電所とは通常の売買契約で再エネ電力を供給する。
「信州Greenでんき」プロジェクトでは、再エネ電力の地産地消と広域での販売の両方の展開を視野に入れることで、より高い付加価値創出を目指す。供給対象は現在のところは工場の産業用電力や店舗・事務所など業務用電力とした法人が中心だが、丸紅新電力は家庭用低圧メニューを検討している。

