有機薄膜太陽電池の材料開発に進展【東洋紡】世界最高レベルの変換効率とPETフィルム基盤モジュールを実現
- 2020/5/19
- 太陽光
- 新エネルギー新聞2020年(令和2年)05月11日付

東洋紡は、フランス政府機関であるCEAと共同で進めていた有機薄膜太陽電池(OPV)の材料開発における成果を発表した。
[画像・上:PET用フィルム基盤OPVモジュール(提供:東洋紡)]
OPVは、炭素や硫黄原子などを含む有機物の発電材料を用いる。この有機系の発電材料を溶媒に溶かし、電極を有するガラスやプラスチックの基盤の上に常温で塗布することで製造できる。軽くて薄い形状にすることも可能なので、現在主流である無機太陽電池では設置が困難な壁面や布地などにも貼付ができる。
東洋紡はファインケミカル事業で培った有機合成技術を応用し、低照度の室内用光源でも高い出力が得られるOPV発電材料の開発に取り組んできた。同社が開発している発電材料は、ノンハロゲンの溶媒にも容易に溶かすことが可能で塗布時のムラが抑制できるので発電の個体差が少なく安定的な発電を実現する。
仏CEAと発電材料に関して共同研究を行ったのは、昨年6月より半年の間だった。溶剤の種類選定や塗布の手法の最適化したことで、世界最高レベルの変換効率を実現するガラス基板のOPV小型セルの試作に成功した。220ルクスのネオン光源、つまり薄暗い室内とほぼ同等の光環境において、約25%の変換効率を確認した。この変換効率は、卓上電卓の電源として用いられているアモルファスシリコン太陽電池の約1.6倍に相当する高い値とのこと。

また、ガラスよりも発電材料の塗布が難しいPETフィルムを基盤とした「曲げられるモジュール」であるOPVモジュールの作製にも成功した。同モジュールは有効面積18㎠の試作品が、同じ220ルクスのネオン光源において130μWの出力を達成している。
今回の共同研究で得た知見を基に、東洋紡は今後は電池メーカーを中心に本発電材料の提案を進める。OPVはIoTに欠かせないセンサー類やウェアラブルデバイスの電源としても期待されている。同社はまずは温湿度センサーや人感センサーなどのワイヤレス電源用途として、2022年度中の採用を目指す。

