≪【特別インタビュー】三菱総合研究所主任研究員・長谷川功氏≫分散型を核とする新たなエネルギーシステムとそのキーデバイスとしての蓄エネ・ストレージ

―蓄電池の導入はそれぞれの区分でどう進展しますか

系統用や発電所併設はB2Bで実績のあるエネルギーデバイス企業が強いと見ています。需要家用は、家電メーカーなどB2Cのチャネルを有する企業が有利でしょう。中間となる工場など大型の需要家用が、どちらアプローチによって開拓されるのか注視しています。

また、既存のエネルギーデバイスの延長線上に、潜在顧客が存在する例もあります。鉛蓄電地をリチウムイオン蓄電池に置き換え、同じ設置スペースで大容量化、空き容量をVPPに用いるというようなアイデアなどです。今後は工場が非常用電源として蓄電池やEVを導入し、土日に余剰分を収益化するなど、畜電池で可能なサービスを組み合わせ、コストを吸収するモデルも増えるでしょう。

車載用リチウムイオン電池パックのグローバルな価格の推移。下落トレンドが見て取れる(資料:経産省)

―ドイツではセクタカップリング、直近ではEVと熱利用(ヒートポンプ)を推進しています

エネルギー貯蔵デバイスとしてのEVの利用はVPP実証などが始まっていますし、積極的に検討が進んでいます。

セクタカップリングは、実は日本では古くて新しい概念です。省エネと表現されてきたことです。セクタをどう切るかによりますが、電熱ではコージェネレーションシステムや地域冷暖房などは普及していますし、既存の取組と捉えています。ただ日本は熱・蒸気の利用に余地があるとは感じています。

―最近のエネルギー貯蔵分野で関心のあるテーマはありますか

蓄電池の「残存性能評価」です。メーカー側に使用履歴があれば予測がつきますが、EVの蓄電池を定置用にリユースした場合などは、履歴が追いきれない可能性があります。VPPなどで使用するなら劣化は見過ごせない問題です。劣化した蓄電池では、アグリゲーターの予定するリソースを出力できないかもしれません。アグリゲーターには損失が出ますし、系統の安定にも寄与できません。蓄電池の劣化状況をリアルタイムに計測する仕組みがVPPの構築には必要と推測します。P2P電力取引でも劣化は課題になり得ます。

また残存性能が測定できれば、適正な価格で中古蓄電池の取引ができます。中古市場が活性化すれば、初期費用も低減されますし、市場そのものが拡大します。

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